攻めも守りも自在にする魔法のタネとは？

ここまでの間、かくも見事な2台の走りをとっくり見物させてもらったわけだが、運動性能で一頭地を抜くのはこのページの主役、アリエル・ノマドだ。

オーリンズのセッティングは硬くもなく、やわらかくもない、といったところ。フラットなハンドリングは、かつて乗ったオーリンズのダンパーを装着していないモデル以上だ。

ステアリングは重く、実に多くをドライバーに伝えてくるが、これも以前よりやや重厚な感触だ。それでもこのクルマは、驚くほどしなやかで、不気味なまでに落ち着いた乗り心地を示すので、バンピーな道でも速度を上げて踏み越えていく気になる。

セブンもそのあたりは優秀だが、あちらに乗るにはより厚着する必要がある。

幹線道路を抜け、われわれは狭く、路面表示が所々消えているB級道路に差し掛かった。周囲は空白地が点在するカーマーゼンシャーの森だ。

そこそこのサイズのハッチバックでも車幅が気になるような道だが、この贅肉のないクルマなら四輪の位置は手に取るようにわかるため、次のコーナーへためらいなく飛び込める。

また、路面状況がドライからウェット、ダートやぬかるみへと変わり、グリップが移ろいやすい中を走っても安心。なんとなれば、1〜2kmくらいバックするのも不可能ではなさそうだ。