‘風を切るクルマ’ 決定戦 その2 ―― アリエル・ノマド編
公開 : 2017.01.15 05:50 更新 : 2017.05.29 20:02
思いのほか安楽 ライバルが見当たらない
ステアリングは路面の補修跡まで明確に手元へ伝え、ブレーキ・ペダルのフィールはABSの必要性を忘れさせる。
この寒いなかの長距離運転がこれほど楽だとは、まったくもってうれしい誤算だった。あまりに楽なので、マッディな林道へ突っ込む余裕が生まれたほどだ。
そして実際、それは実におもしろかった。泥道で振り回すと、ノマドのバランスの高さやコントロールのしやすさは、セブン並みに優れていた。
しかしグラベル路は、これを想定して造られたノマドのひとり舞台だ。
ひとしきり楽しんだあと、眼鏡の泥跳ねを拭い、靴に入り込んだ小石を捨てながら、ふと思った。この先、ノマドほど素晴らしいクルマにどれだけ出逢えるのだろうか、と。
これほど多様なセッティングやシーンで乗る者を魅了する比類なきクルマは生まれ得るのか。メカニズムの優秀さや走りの万能性、それらにも増して楽しさにおいて、ここまで完璧なライバルは現れるのだろうか。
答えは明白だ。砂粒の入った目の痛みや、口に残る泥の味と同じくらいに、はっきりとわかっている。
▶ カーレビュー / ‘風を切るクルマ’ 決定戦 その1 ―― モーガン3ホイラー編
▶ カーレビュー / ‘風を切るクルマ’ 決定戦 その3 ―― ケータハム・セブン310R編