‘風を切るクルマ’ 決定戦 その3 ―― ケータハム・セブン310R編
公開 : 2017.01.16 05:55 更新 : 2017.05.29 18:33
神が宿っているかのようなステアリング
そんな走りを1時間ほど楽しんだ後は、カーマーゼンシャーの平原と渓谷を縫う、つぎはぎだらけの道を再び3台並んで行く。
その時、激しく吹き付ける走行風やたった540kgの軽量さゆえに直線でもふらつくスリリングなステアリングの中に、神が宿っているようなラック&ピニオンの存在に気付く。
ハンドリングの信頼性は、エイヴォンの新たなウインター・タイヤ、WV7に支えられている部分もある。これを装着するには、ホイールを310Rにジャスト・フィットの13インチを捨て、15インチへ変更する必要があるが、それでもパフォーマンスはすばらしい。温度が上がると性能が落ちる一般的なウインター・タイヤとは別物だ。
さらに、これは3台とも同じ条件だが、スリンブライアン・ダム周辺は最近、アスファルトの大半が敷き直された。この新たな舗装は、30km以上にわたり一車線道路が続く馬鹿げたコースで、われわれの3台よりはるかに大きいクルマでは得がたいような走りの楽しさを与えてくれる。
そうこうしているうちに、ウェールズの空に暗雲が立ちこめ、雨の気配が漂う。時間にも余裕はない。日が落ちる前にゴール写真の撮影を済ませるには、目指す海岸線へラスト・スパートをかけなければ。カメラマンのリュック・レイシーが照明準備にかける時間ときたら、表彰ものの長さなのだ。