キア・プロシードGT
公開 : 2012.12.07 15:11 更新 : 2021.03.05 21:39
■どんなクルマ?
より若々しくスポーティなヒュンダイ−キアの兄弟車は、より速く、よりドライバー志向のクルマでなくてはならないという使命が与えられている。その使命にキアはどう応えるのだろうか。
昨日、AUTOCARは、その答えを得るチャンスに恵まれた。まだプロトタイプの状態だが、第2世代のプロシードGTのテスト・ドライブを行うことができたのだ。
そのインテリアとドライブ・トレーンまわりはプロダクション・スペックであったが、その外観はカモフラージュされたままという仕様だった。そのエンジンは、新しいキア3ドア・シードの50%増しというパワーを持っている。それは3月のジュネーブ・モーターショーで発表され、スロバキアのジリナ工場で5月から生産に入る予定だ。英国には6月から7月の間で、23,000ポンド(304万円)という価格で販売されることとなる。
それはダチアのようなバーゲン・プライスのモデルではなく、その装備も、シートはレカロのバケットが標準となるなど、充実しているのが特徴。それでいて、ライバルに対しては優位となる価格付けがされているようだ。
1.6リッターの4気筒ターボ・エンジンは、201bhpを発し、225km/hのトップ・スピードと、0-100km/h7.9秒という俊足ぶりを示す。このクルマがフォード・フォーカスSTやルノースポーツ・メガーヌに対抗するモデルとはキアはコメントしていないが、そのパフォーマンスはそれらライバルをかなり意識しているものと思われる。
ちなみに、このGTは3ドア・ボディおよび5ドア・ボディ、その両方のモデルが生産されるはずだ。
そのエンジンは、1.6リッター・ターボの4気筒であることは先述したとおりだが、フランクフルト近くのルッセンスハイムにあるキアのテクニカル・センターで開発されたこのパワー・ユニットは、ツイン・スクロール・ターボチャージャー、ロー・エミッションと高いレスポンスをもたらすエグゾースト・マニフォールド、ダイレクト・インジェクション、デュアル・バリアブル・バルブ・タイミングなどが与えられ、201bhp/6000rpmのパワーと、27.7kg-m/1750rpm-4500rpmのトルクを持つ。
■どんな感じ?
新しいエンジンのパフォーマンスは活発で、なおかつオールラウンダーといった印象だ。1.6リッターとは思えないほどの、懐の広さがある。決定的なターボ・ラグもなく、加速も非常に良い。
6速のギアボックスの下3速は、よりよい加速をもたらすために引き下げられている。その反面、5速、6速はクルージングを意識したハイ・ギアードなものとされている。
エンジンは6500rpmのレブ・リミットまで綺麗に回る。そのサウンドは少々騒がしいが、むしろ、そのサウンドがうるさくなったことがギア・シフトのタイミングを教えてくれるものとなる。
ステアリングは、標準のシードはドライバーの好みによって3つのモードが選択可能だが、このGTではスポーティ・モードしか用意されない。最も重いセッティングなのだが、個人的にはまだまだ軽いように感じられた。また、センター付近に曖昧さが感じられたのも事実だ。
ブレーキは、スタンダード・スペックのシードと同じで、効きは充分だが、スポーティなドライブにはブレーキング開始時の動作感が甘いように感じられた。
■「買い」か?
このクルマを買いか買いではないかということは、まだ決定することはできない。このテスト・モデルのチューニングは最終的なものであったが、それはドイツの滑らかな路上でのテストだけで、英国のような劣悪な環境下にある路面の上でのテストはできなかったからだ。従って、最終的には英国の路上でテストしていないと結論をだすわけにはいかないということだ。
しかし、少なくともドイツの路上で試した乗り心地の印象は、よくダンピングの効いたフラットなものであった。
われわれは、数年前フォルクスワーゲンとBMWから移籍したキアのヨーロッパのエンジニアリング集団が、今後GTの比較的少ない問題点を改善してくれることを期待している。
そして、価格設定が正しくされるのであれば、このプロシードGTは、面白いニューカマーとなることは間違いない。
(スティーブ・クロプリー)
キア・プロシードGT
価格 | 23,000ポンド(304万円) |
最高速度 | 225km/h |
0-100km/h加速 | 7.9秒 |
燃費 | NA |
CO2排出量 | 160g/km |
乾燥重量 | 1350kg |
エンジン | 直列4気筒1591ccツイン・ターボ |
最高出力 | 201bhp/6000rpm |
最大トルク | 27.7kg-m/1750rpm-4500rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |