新車&中古車対決! ―― 日産GT-R vs BMW i8
公開 : 2017.01.22 05:50 更新 : 2017.05.29 19:29
(意外にも)GT-Rは若さを保つ
最新型GT-Rのスタイリングはより一層アグレッシブさを増した。(そしてダウンフォースも増した。)
一方のi8は、低く、すんなりとした、しかし複雑に入り組んだ形をしており、優美なディヘドラル・ドアを開けない状態のままでも十分に視線を集めることになる。
とはいえ、繭状のキャビンに高いサイド・シルをまたぎながら、のけ反るように乗り込むのは、とても優美とは言いがたい。(この手のクルマの宿命だけど。)
ちなみにキャビンは外観の見た目ほど余裕はない。しかし、ドラマ性という面では、GT-Rはi8に降参するだろう。慣れ親しんだBMWのスイッチ類と操作性は、第一級のマテリアルで飾られ、更には未来的なバーチャル・メーターが装備されることで、新鮮な造形に置き換わっている。
また、布地と革で設えたi8のシートは、特にすばらしい。ハンサムなコンセプトカーのルックスでありながら、しっかりとサポートし、快適に調整ができるシートである。
GT-Rの四角い箱形状の車内は、最近改良されたとはいえ、i8よりも保守的に見える。しかしBMWと似た、あたらしい回転式インフォテインメント・ダイアルは、BMWのiDriveに比べ、操作性、グラフィックス、表示速度において劣っているものの、操作に必要な手数はBMWよりも少ない。改善されたステッチ入りの革の見た目と手触りは確かにプレミアム感もある。
シートの代名詞とも言えるレカロ製シートはi8のシートほど洗練されてはいないが、サポート性に優れ、身体を包みこむ。また調整幅も大きい。一方のリア・シートは両車ともに狭い。首は伸ばせるだろうが、足元は窮屈である。
トランクは、i8の場合、角が削られた丸っぽい形状。容量は154ℓ。GT-Rの315ℓのトランクの方が遥かに実用的だ。
GT-Rは進化した i8は今なお進歩的
いよいよ走りに関して。i8は37kmを、100%モーターの力で走ることができる。われわれの評価では市街地走行は26kmであった。
131psの出力で前輪を駆動するモーターは、唯一聞こえるのが心臓の鼓動だけではないか、というくらいに市街地をゆっくりと流す際に振動がなく、ほとんど無音である。
乗り心地に関しては、セッティングをアグレッシブなモードにした際は、GT-Rのほうが硬いが、街乗りならば、むしろGT-Rのほうがソフトだ。
GT-Rのキャビンでは、ほどよいエグゾースト・ノートの低音に心地よささえ感じ、かつてのディファレンシアル・ギアから発生するうめき声や、その他のメカニカル・ノイズなどは、新型では見事に抑えこまれている。低速時にシフト・アップした際のギクシャク感も減った。
第一級レベルではないが、乗員の心をかき乱すかのような挙動、落ち着かない様子からは一変している。