トヨタC-HR G-T
公開 : 2017.01.23 05:55 更新 : 2021.01.28 17:56
C-HRの開発責任者の古場博之主査によると、さらにリア・サスペンションのゴム・ブッシュが異なる。より剛性の高いボール・ブッシュを希望したのはTNGAの開発のかなり早い段階だったという。
さらに古場主査は開発の舞台にニュルブクリンクを選び、毎年1カ月以上かけてテストを繰り返した。アウトバーンを含む一般道でも走り込んだそうで、トヨタ・ブランドのスポーツカー以外の車両としては初めてだった。「ニュルを私が走りたい」という、プライベートでもレース参戦経験のある走り屋主査のワガママから始まったのだけれど、おかげで主査が構想した「我が意の走り」が実現したという。
■どんな感じ?
横浜の試乗会場にイエローやレッドや明るいグリーン、それにシルバーのC-HRが20台ほど並んでいるのを見ると、「いまが未来なんだよ」という故・渡辺和博さんのささやき声が聞こえてくる。前後フェンダーをことさら強調し、ボディのサイドにダイヤモンドがクッキリと浮かぶシャープでエッジーなプレスラインは21世紀の生産技術のなせる技だろう。
今回AUTOCARがスポットを当てるのは、ガソリン・モデルの高い方のグレード、G-Tである。ドライビング・ポジションはごくフツウのハッチバック並みで、逆にプリウスがスポーツカーのように低いのだ。
外観から想像するのと違って、室内は意外と快適だ。ルーフが低めでAピラーが寝ているけれど、狭っ苦しくは感じない。ドライバーの眼前には大径のメーターがふたつ並んでいて、メーターナセルの上部はソフトパッドで覆われている。茶系でまとめられたインテリアはシックで、子どもっぽくない。スポーツカーのような運転席まわり、というのが第一印象である。シートの背中と座面には菱形のキルティングが施されている。ボディ側面の大きなダイヤモンド形と、内側の小さなダイヤモンド形とでデザインを反復して、ある種の反響空間をつくり出している。もっとも、座るとシートの菱形は見えなくなる。ボディ側面の菱形も中からは見えない……。当たり前である。