テスラ・モデルS P100D
公開 : 2017.01.26 05:55 更新 : 2017.05.29 18:47
■どんな感じ?
まずは航続距離について検証するのが一般的な評価なのだろうが、AUTOCARは、そんなことよりも顔の歪むような加速のほうに興味がある。
パワーのレベルは3段階あり、合法的な速度で流すなら、最低ランクのスポーツ・モードで十分。同乗者を驚かせるような加速を求めるなら ‘Ludicrous’ モードを、ちょっとしたパニックに遭わせたいなら ‘Ludicrous’ プラス・モードを、といったところだ。
‘Ludicrous’ プラス・モードを選択するには、タッチスクリーンで ‘Ludicrous’ モードのアイコンを長押しする。すると、SF映画のワープ・シーンのようなアニメーションが投影され、“モーターやギアボックス、バッテリーの消耗を早めるが、実行するか?” との確認文が表示される。用意される選択肢は “イエス、やってくれ” と “ノー、ママを呼んで”のふたつ。フルパワーを得るのに、どちらを選べばいいのかは、言うまでもないだろう。
ローンチ・モードでスロットル・ペダルをベタ踏みすると、その加速はほぼ恐怖と同義だ。不用意に踏みこむと、頭がヘッドレストを吹っ飛ばしそうな勢いでシートに叩きつけられ、一体何が起きているのか理解するのに精一杯という状況に陥る。
前後アクスルに供給されるトルクが膨大であることは実感できる。ステアリング・ホイールが手の内で暴れることこそないものの、フル加速時にはノーズが流れないよう力を加えなければならない。
公道上で理性的な運転をするなら、スロットル・ペダルに乗せた足には、ほとんど力を加える必要がない。もし、公道でも性能をフルに近いところまで引き出せると考えているなら、それは大きな間違いだ。
ほんの短い間でさえ強く踏めば、瞬間的に反応し、たちまち突進する。速度が上がるほどに加速は穏やかになるものの、それでも直進状態をキープするのは容易ではない。
モデルSの回生ブレーキは強力で、これがリラックスしたドライビングに寄与する。交通状況の先読みができていれば ―そして、突然の飛び出しなどがなければ― ブレーキ・ペダルの操作は最小限でクルマを停止させることができるのだ。またこれは、電力の節約にもつながる。