ただし乗り心地は、十分にリラックスできるものではない。標準装備のエア・サスは、スピードが上がるほどに快適性が改善される類のものだ。よく動く脚だが、不整路面では忙しなく、ダンピングが良好とはいえない。

テスラでは、スポーツ・サルーンらしい味付けをしたと説明するだろうが、それに成功しているとは思えない。

スポーツ・モードでのステアリングは重厚だが、重すぎるということはない。とはいえ、コーナーでのフィードバックは感じられない。また、フル・パワーでのドリフトを楽しみたい、という欲求は捨てたほうがいい。全開時には、スタビリティ・コントロールのカットも、介入の穏やかなスポーツ・モードへの切り替えもできないからだ。

インテリアは、リッチな質感の素材が多用されているが、仕立てはまだまだ。走り始めると、トリムは奇妙な軋み音を発するし、小物入れのリッドには大きな段差も見受けられる。

それでも、フロント・シートの間にふた付きの小物入れが備わったのは歓迎すべきことだ。以前、ここには剥き出しのトレイがあるばかりで、少しでも本気を出して走れば、そこに置いたものを車内に撒き散らすしかなかったのだから。