ホンダ・シビック1.0 i-VTECターボSR

公開 : 2017.02.01 05:55  更新 : 2017.05.29 19:09

走りもまた、称賛に値する。多岐に渡るハードウェア刷新の効果は、上質な乗り心地や動じないハンドリングが融合した、揺るぎない安定感に表れている。

パッシブ式のサスペンションは、プロトタイプで体験したアダプティブ式ほど印象的ではなかったが、バンプのいなしっぷりは一貫して高い水準にある。スペインの試乗コースでは、コーナリングで挙動が乱れたときでさえ、余計な操舵は必要なかったほどだ。

このことは、シビックの基本的なバランスが、明確な強みとなることを示す。ヨーの立ちあがりから横Gの発生、ボディのロールへと続く一連の動きをよりよく処理することは、ホンダの目指したものだ。これにより、クルマのコントロールに自信を与えてくれる。

たしかに、フットプリントが縦横に拡大されたため、情熱をかき立てるような性質は高められなかった。そのハンドリングは、バランスのいい前輪駆動車らしい無害なもので、わずかながら粘り気を感じるステアリング・フィールも、それに似合いの印象だ。とはいえ、その精確さと圧倒的な安心感は、シビックを付き合いやすいクルマにしている。

新開発の1.0ℓユニットは、近年の小排気量3気筒に求められる特性を確実に備えている。ホンダの長い歴史において、新型エンジンが安易に導入されたことはない。今回のターボ導入も、他に置き換えが利く手段がなかったための決断だ。

ただし、それは小型で軽量のシングル・スクロール式で、VTECの機能をあからさまに阻害しないよう入念に設えられた。

その甲斐あって、ドライバーの感覚とのズレを抑えたパワーデリバリーが可能となった。これは、使い勝手も速さも静粛性も、さらには経済性でも満足のいく、まさに最先端の3気筒だ。

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