シトロエンC3 VTi 82 VTR+
公開 : 2012.12.09 13:25 更新 : 2021.03.05 21:44
■どんなクルマ?
プジョー208に積まれてデビューした、プジョー・シトロエンの新しい3気筒エンジンを搭載するシトロエンC3だ。PSAのエンジニアは、このエンジンが52もの特許をとっているとし、そのうち17については、そのシリンダーヘッド・デザインに属するという。
エンジン・ブロックはアルミニウム製。シリンダーヘッドは、各シリンダー毎に4つのバルブを持ち、インレットとエグゾーストそれぞれにバリアブル・バルブ・タイミングが用いられている。PSAによれば、4気筒エンジンに較べてその内部摩擦は30%軽減されているという。
より強力な80bhpバージョンは、バランサー・シャフトが採用されている。一方、エントリー・レベルの67bhpバージョンは、コストの関係でその採用が見送られた。英国で販売されるのは80bhpバージョンのみで、現時点では67bhpバージョンを販売する予定はないという。また、同様にコスト上の問題からアイドリング・ストップも採用が見送られている。
しかし、2、3の先進的なエンジニアリングも採用されている。エンジンのカムベルトは、オイル・サンプの中で潤滑されるように設計されており、そのエンジンの寿命まで持ちこたえることができる仕組みだ。また、ベルト・ドライブのオルターネーターは、クルマが加速している時はクラッチによって切り離され、余計な負荷をかけないようにしているという。
面白いことに、フォードの1.0リッター3気筒エコブースト・ターボが成功を収めているが、PSAのエンジニアリング関係者は、このエンジンのターボ・バージョンは一切考えていないとAUTOCARに話してくれた。
このエンジンを搭載するにあたり、シトロエンはC3のシャシーを若干修正している。アンチロールを15%、そしてダンピングを20%高めたという。
■どんな感じ?
滑らかな路面では、軽くイージーでスムーズな乗り心地を見せる。しかし、プアな路面となると、最悪の乗り心地を露呈してしまうのは、いたしかたないところか。
ハイウェイ・クルージングでは、その新しいエンジンは静かで、かすかな単調なサウンドを発するだけだ。110km/hで3300rpmと回転数は高めだが、その佇まいは穏やかなままだ。
もしこのエンジンがディーゼルに匹敵する経済性を実際に示すのであれば、機械的に単純でありながら洗練されたこのガソリン・エンジンは、非常に魅力的なものとなるだろう。
残念なのはそのステアリングで、最初の1/4回転のレスポンスが完全に欠落しており、全体的にも軽すぎてフォードバックがないことに失望させられた。また、そのギア・アクションもねっとりとして、しかもそのアクションに時間が掛かるものだった。
■「買い」か?
英国ではVTR+トリムが導入されるが、その価格は13,640ポンド(180万円)となる。このエンジンは、ライバルのフィエスタの80bhp4気筒エンジンよりも素晴らしく、そのフィーリングも良いと感じられた。しかし、全体的なクルマの仕上がりとしては、フィエスタの方が遥かに優れているのも事実だ。
(ヒルトン・ホロウェイ)
シトロエンC3 VTi 82 VTR+
価格 | 13,640ポンド(180万円) |
最高速度 | 174km/h |
0-100km/h加速 | 14.2秒 |
燃費 | 22.2km/l |
CO2排出量 | 107g/km |
乾燥重量 | 975kg |
エンジン | 直列3気筒1199cc |
最高出力 | 80.5bhp/5750rpm |
最大トルク | 12.0kg-m/2750rpm |
ギアボックス | 5速マニュアル |