ポルシェ911カレラ4 GTS
公開 : 2017.02.03 05:50 更新 : 2017.05.29 19:03
わたしが911を優れたクルマだと評価する理由のひとつとして、ボクスターやケイマンのように、さっさと6気筒を捨て去らなかったことが挙げられる。
そしてもうひとつ、今回褒めておきたいのは、ターボが加わったからといって、味わいが著しく損なわれていない点だ。
また、GTSの装備(たとえばサスペンション)は、カレラSにオプションを追加することで同レベルにすることができるが、ディテールはGTSならではのもので、これらすべてがGTSをGTSたらしめる心地よさに直結している。結果的に標準の911より熱狂的で、なおかつ楽しく、没頭できるのである。
35サイズのフロント、30サイズのロー・プロファイル・リア・タイヤであるが乗り心地も悪くない。ウェールズの丘を走っていても、サスのセッティングをスポーツ・モードに切り替えられる。凹凸が続いても、日産GT-Rのようにガクンとは来ない。
しかしながら、マクラーレン570Sのようなふわりとしたマジックはなし。淡々と挙動を素早く、完璧に抑え込むタイプだ。ステアリング・フィールは、肉付きよく重く、現行市販車の中でも、もっとも称賛に値する電子制御の電動ステア・システムである。
エッジが立ちすぎているわけではないが、適度にシャープ。走りに集中できる。
エンジン・サウンドはわずかに勇ましく、ターボだからといってエンジンの反応性が衰えることはない。PDKは完成度が高く、ハンドリングにも不安はない。動きを予期できて、思った通りのラインを狙えるクルマである。