青コーナー、BMW 320d　赤コーナー、ジャガーXE 2.0D

ボディ・カラーになぞらえるなら、青コーナーはBMW 320d。ジュリアと入れ替わるように誕生した3シリーズは、長年にわたりFRスポーツ・セダンの新たな道を切り開いてきた。

アルファ・ロメオに、彼らがまさに造るべきものを容赦なく突きつけ続けてきたのが3シリーズであり、その歴史は、たゆみないファイン・チューンの連続だった。われわれの長期テスト車として買った今回の車両はその最新世代で、xDrive、すなわち4WD仕様だ。

一方、赤コーナーはジャガーXE。打倒3シリーズのためにジャガーが新規開発を行った英国代表だ。X-タイプの生産終了以降、試行錯誤を繰り返してきたDセグメントモデル開発の輝かしい成果ではあるが、単にX-タイプ後継と片づけるのは、このクルマに対する過小評価といえるだろう。

近年、著しい進歩を遂げているジャガー全体においても、インジニウム・ユニットとアルミ・シャシーの組み合わせ、そしてその優秀さは注目に値する。

それは様々な受賞歴だけでなく、販売実績も証明するところだ。またジャガーにとってのXEは、アルファ・ロメオにおけるジュリアと似通った境遇にある。

いずれも欧州プレミアムDセグメントでは後発で、ともに長い歴史を持ちながら収益性改善に四苦八苦し続けてきたメーカーにとっての、大きな利潤を見込んでいるモデルだ。

XEも、今回は4WD仕様を用意した。しかし、ジュリアには現状、4WDが用意されていない。ただし、クルマの価値や評価を左右する要素は、駆動輪の数だけではない。ルックスや内装の仕立て、製造クオリティや洗練度、エンジンやシャシー、乗り心地、実用性、価格、そして高級感、などなど……。

そうした多様な要素をリスト・アップし、精査を重ねた末に、はじめて高級であるとともにバランスにも優れた、すべてにおいて妥協を排したといえる境地に到達することができるのだ。

まさにジュリアの成否はそこにかかっており、それをおろそかにしたがゆえに凡庸なクルマとなってしまったのが、MiToやジュリエッタだったのである。