S90 R-デザインは、高速道路での長距離クルージングを極めて巧みにこなす。荒れた路面でロード・ノイズが気になるのを除けば、キャビンの静粛性も高い。

単調な道では、半自動運転のパイロット・アシストがストレスを取り除いてくれる。しかしカントリー・ロードでの走りは、ドイツのライバルたちと同等とは言い難い。

単体で見れば十分に楽しめるし、4WDシステムが与えてくれるグリップも強力だ。しかし、ステアリング・フィールはやや物足りなく、とりわけダイナミック・モードでは、セルフ・センタリングがやや鋭すぎる場合がある。

ただ、これら以上にパフォーマンスは印象的で、オーバーテイクでは何の問題もなく先行車をカモっていく。0-100km/h加速タイムは、BMW530d xDriveに1.6秒遅れるが、D5のエンジンにはパワーパルスと呼ばれるターボ・ラグ軽減デバイスが備わる。

エア・コンプレッサーを用いたこの機構により、低回転でもレスポンスに優れ、パワー・デリバリーはスムースである。

インテリアの造りは美しい。フィッティングや仕上げは申し分なく、すべての箇所に十分なスペースがあり、トランクも広い。インフォテイメント・システムの9.0インチ・タッチパネルは驚くほど直観的に操作でき、さらにR-デザインでは、12.3インチのディスプレイを用いた計器盤も採用される。