トヨタ・ヴィッツU/ハイブリッドU Sportyパッケージ

公開 : 2017.02.10 05:50  更新 : 2021.01.28 17:17

■どんな感じ?

ヨーロッパ生まれは走りがいい。というのはなんのクルマのキャッチフレーズだったか……。「足のいいやつ」はカリーナだったけれど、それはともかくとして、ヴィッツはもともとフランスで生産する欧州戦略車として誕生したことを、木更津の一般道を走りながら思い出した。あれは1999年のことぢゃった。ヨーロッパ生まれは走りがいい。というのはなんのクルマのキャッチフレーズであったか……。という繰り返しのギャグはおいといて、アクアのハイブリッド・システムを得たヴィッツで印象的なのはそのことだった。

足回りはヨーロッパ仕様そのままではない、日本市場向けに調整してあるということだけれど、乗り心地はやや硬めでしなやか、フランス車とドイツ車の中間のような、ヨーロッパの小型車のそれを思わせた。

ステアリングもしっかりしたフィーリングがあって、国産車の電動パワー・ステアリングとしては出色のできといってよいのではあるまいか。記憶の中のアクアよりも全体に骨太な感じがする。鉄板が厚いのかも……という印象が単に筆者の気のせいとも言い切れないのは、アクアの車重が1080kgであるのに対して、ヴィッツ・ハイブリッドは1100〜1110kgと、サイズはどっこいどっこいなのに若干重いという事実がある。

おまけに3代目ヴィッツの7年目のマイナー・チェンジでは、ホワイト・ボディのスポット打点の増し打ちと、インストゥルメント・パネルの裏側の一部の板厚を上げることによるボディ剛性の向上が図られている。合わせて新しい構造のバルブを持つダンパーをTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)から持ってきて前後に採用している。

これはレーン・チェンジの際の乗り心地と操縦安定性の改善が狙いとされており、一般道での試乗会でどこまで体感できたのか疑問なしとはしないけれど、新型ヴィッツはアクアよりも骨太感があって、走りがよいように思われた。ムードに弱い筆者はフツウのヴィッツに乗っているだけなのにWRCのフリカケがかかっているように思え、つまり、たちまちにして媚薬を嗅がされたような気分になっていたのだ。

もちろんアクアから移植されたハイブリッド・システムは、しずしずと走るほうが向いている。電気モーターとの協力関係でそこそこの速さだって兼ね備えている。1.5ℓガソリン・ユニットは最高出力74ps、最大トルク11.3kg-mで、いざというときには61psと17.2kg-mを発生する電気モーターが加速の助太刀をしてくれる。

ただし、アトキンソン・サイクルの4気筒は、回したところでムオーッという電気掃除機のような音色をあげるのみだ。ガソリン・エンジンのエキサイトメントとは一線を画している。

とはいえ、回さずに走れば、Bセグメントの小型ハッチバックとしては驚くほどに静かだ。EVモードもついているから、当然といえば当然ではある。ヴィッツ搭載にあたって、エンジンの燃焼効率の向上と低フリクション化、PCU(パワー・コントロール・ユニット)の電流変化時の損失低減が図られているということだけれど、違いの実感は得られていない。

カタログ燃費は34.4km/ℓにとどまるものの、これは燃費スペシャル仕様をあえてつくらなかったからだ。たとえば、アクアは最高37.2km/ℓの低燃費をうたうけれど、オプションを装備すると車重が増えて33.8km/ℓに低下する。

ノートe−パワー、フィット・ハイブリッドもしかりであって、つまりヴィッツ・ハイブリッドの34.4km/ℓで十二分にライバルたちに対する競争力がある、というのが開発陣の主張だ。

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