スポーツ・クーペ決定戦:後編 ―― ポルシェ・パナメーラ・ターボ vs BMW M6グランクーペ vs メルセデス-AMG S63クーペ

公開 : 2017.02.12 05:50  更新 : 2017.05.29 19:29

M6は乗り心地も劣勢 パナメーラがすべてで凌駕

乗り心地は、このグループにあっては不安定さが目立つ。20インチのホイールは、ミシュランのパイロット・スーパースポーツを履く。

ダンパーの硬さは変更できるが、どのモードにあってもソワソワと落ち着かない感じだ。ただし、不快感や安っぽさはないのでご心配なく。不安定といっても、硬派なフォードフィエスタSTのような低レベルの話ではなく、ほかの2台から乗り換えたらバタつきが気になるだろう、ということだ。

それを除けば、M6は洗練されたクルマだ。しかし、それは単なる高級車の洗練性ではない。様々なメーカーが ‘スポーティ’ とか ‘魅惑的’ とかいった売り文句を軽々しく使うが、真にそれを提供するのはM6だけだ、と思えるような類のものだ。

もっともライトなモードでは、ステアリング・インフォメーションがかなり不足気味だが、速度を上げるほどに重さと、さらにはコンフィデンスも高まる。おそろしいほどバランスに優れ、かなりの悪条件下でも強力なグリップとトラクションを発揮する。

パナメーラは、すべての要素でM6を凌ぐ。グリップ、トラクション、比類ないトルクによる低回転での加速、などなど。加えて、この上ない洗練性だ。

テスト・コースやカントリーロードでも、渋滞したロンドン市街でも、それは変わりない。騒音や振動の遮断性にも優れ、もしドイツで、ハンブルクからベルリンへ約300kmを高速道路で移動するなら、アシに選ぶクルマはこれだろう。

よって、全体としてのバランスを見るならばパナメーラ、クルマとの一体感やアナログな感覚を楽しみたいならM6といったところだ。ではS63クーペは?

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