アストン・マーティン・ヴァンテージV12ロードスター
公開 : 2012.12.11 17:25 更新 : 2017.05.29 18:21
■どんなクルマ?
アストン・マーティンのヴァンテージのオープン・モデルに、510bhpの6.0リッターV12気筒を組み合わせることは、ブランデーをホームメイドのクリスマス・プリンにかけ、更にアセチレントーチでそれを照らすようなものだ。
さすがに、ヴァンテージV12クーペがデビューして以来、さすがに、そのフロント・フードの下に更なる4気筒を持つV12エンジンを収めるべきか否かの論争はなくなったようだ。多くのアストン・ファンは、それを許容したのだろう。
V12エンジンを搭載するにあたって、アストン・マーティンはリフトを減らすために、リアのトランク・リッドのスポイラーを再設計し、低い位置にあるフロントのエア・インテークもリデザインした。それ以外は、V8モデルと変わりない。言い換えれば、相変わらずハンサムなクルマであるということだ。
シャシーは増大したパワーに対処するようリファインされている。スプリングとダンパーのセットが見直されている。
もちろん価格も異なる。V12ロードスターは150,000ポンド(1,980万円)という値段が付けられている。これは、V8の430bhpのSバージョンよりもかなり高額な金額だ。
■どんな感じ?
12月の夜のイギリスは、ベタベタした湿気がまとわりつく天候で、このV12アストンをテストするには最適な気候とはいえない。ほとんど点灯しっぱなしのトラクション・コントロール・ランプの琥珀色の輝きは、エンジン・パワーが本来持つ性能の2/3しか出ていないことを示してる。
それでも、そのエンジン・サウンドは、ルーフのないヴァンテージのキャビンに心地よく入り込む。
V12モデルにのみ配されるスポーツ・ボタンを押すと、エンジンのスロットル・マッピングが変更になる。スロットル・ペダルの5cm程度の踏み込みに併せて、ターボジェットのようなサウンドと共に回転を上げるのだ。もし、リアからのパワーが手に負えないと判断したなら、スロットルを緩めれば良いだけだ。
トップレスのV8ヴァンテージは、V12モデルと比較をしてしまえばパワー不足を感じるかもしれない。しかし、ハンツマン&サンズのシューティング・スーツのような繊細さが感じられる。一方、V12はクレイモアのアーマースーツを着て静かな晩餐会に侵入したかのような感じがあるのだ。
■「買い」か?
ただ単純にトップレスのヴァンテージの荘厳さに魅力を感じるのであれば、V8モデルで充分であるし、なおかつ経済的である。しかし、アストン・マーティン本来の豪華さや存在感を望むのであれば、V12モデルを選ぶしかない。
そして、あとは早春を待つだけだ。
(ニック・カケット)
アストン・マーティン・ヴァンテージV12ロードスター
価格 | 135,000ポンド(1,787万円) |
最高速度 | 306km/h |
0-100km/h加速 | 4.2秒 |
燃費 | 6.1km/l |
CO2排出量 | 388g/km |
乾燥重量 | 1380kg |
エンジン | V型12気筒5935cc |
最高出力 | 510bhp/6500rpm |
最大トルク | 58.1kg-m/5750rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |