日産オール・ラインナップ 氷上・雪上試乗会
公開 : 2017.02.13 11:26 更新 : 2017.05.29 19:26
そこで結論めいたことを最初に書いてしまうと、氷上ほど路面のμが低いと駆動方式による走り易さの違いはさほど明確ではなく、いずれも極めて走り難い、というのが実感だった。走り難いとはどういうことかというと、ほとんど意のままにならない、という感触である。
それでもコース前半の氷上に凹凸のある直線と緩いコーナーでは、クルマによる違いが比較的明確に表れたといえる。例えばGT-Rは、他の3台より明らかに力強くスピードを上げていくと感じられた。しかしそこに4WDがどれだけ貢献しているかというと、明確なことは判断しかねる。
なぜならその場所では、FRのフェアレディZもそれなりに活発に、しかもさほど危なげなく走れたし、FFのノートe-POWERに対して4WDのジュークNISMOが明らかにより確実なトラクションを実感させたかというと、意外や必ずしもそうではなかったからだ。
さらにμの低いツルツルな路面のヘアピンでは、駆動方式による優位はますます明確に実感できなかった。あれほどμが低いと、スタッドレス・タイヤではどのみちグリップせず、4WDだから脱出加速時のトラクションが確実だとか、狙ったラインを辿っていきやすいとかいうことは、実感できなかった。
むしろ意外に健闘したのはFRのフェアレディZで、ツルツル路面のヘアピンでは最も向きを変え易い印象を得た。スロットルとステアリングの連係プレーで後輪に荷重を載せられることが、向きを変え易いと感じさせた要因ではないかと思う。その点、FFのノートe-POWERは前輪荷重が大きいため、トラクションは悪くないが、向きを変え難かった。
パワートレインや駆動方式の違い、あるいはABSやESPといった制御のキメ細かさも、あまりにもμの低い氷上をスタッドレスで走る限りは、メリットを生かし切れないという印象だった。タイヤをスタッドが打たれたスパイク・タイヤにでも替えれば、それらはもっと明確に見えてくるのだろうと思う。