■雪上でノートe-POWERを試す

続いて雪道の走行に話を移そう。山間のワインディング・ロードに積雪路と雪のない舗装路が点在する一般路のコースでは、主にノートe-POWERのNISMOバージョンに乗ったが、これはなかなかドライビングの愉しいクルマだった。

まずノートe-POWER NISMOがいかなるクルマなのかを手短に書くと、その名のとおり、ガソリン・エンジンで発電した電気を使いモーターを回して走る新種のハイブリッド・カー、ノートe-POWERを、NISMOが一段とスポーティに仕立て上げたモデル、ということになる。

具体的には、ボディ補強や専用サスペンションの装着、タイヤのサイズ・アップ、専用スポイラーの装着といったシャシー/ボディ関連が主な変更点で、e-POWERのパワーユニット本体に変更はない。それに、回生ブレーキのセッティングなどを標準型と変えて、ドライビング感覚をスポーティ方向に振っているという。

さらに試乗車には、レカロ製のスポーツ・シートなどがオプション装着されていたが、前席左右で27万円也のこのシート、身体を適度にタイトにホールドして、スポーツ・ドライビングのムードを盛り上げてくれる。というところで、まずは雪のない舗装路に走り出す。

試乗は珍しく4人乗車でおこなったが、低回転から強大なトルクを発生する電気モーターの性格上、動力性能は少なくともワインディング・ロードで経験できる速度域ではまったく充分という印象で、上り坂も不満のないペースで駆け上がっていく。

ただし同じクルマに乗った同業者は、上り坂の途中から発信しようとした際、トルクが掛かり過ぎて前輪が空転してしまい、スタートできなかったのを経験したという。FFの限界という奴か?