天候を問わぬ速さを備えたスーパーサルーン、アウディS4 だけど何かが足りない?
公開 : 2017.02.14 10:14 更新 : 2017.05.29 18:13
まずはエンジン音の変化に気付く。かすかな唸りは、回転の上昇に伴って高まる垂涎ものの咆吼へと変わる。一応は常識的な価格で手に入るV6としては、最高のサウンドのひとつに数えられるだろう。
そして、もちろん速い。トルコンATながら、シフト・チェンジも望めば速い。V6の力感はたくましく、低回転から力強いうえに、高回転まで回したくなる雰囲気もある。
ハンドリングはどうか。クワトロ4WDの効果は疑うべくもないが、試乗車はオプションのスポーツ・ディファレンシャルを装備されていた影響も感じられた。敏捷性を向上させるという謳い文句のそれは、スロットルでのステアリング操作を許容しなかったのだ。
スロットル・ペダルを踏み込もうが、ステアリング・ホイールを思い切り切り込もうが、ウェット路面でESPをオフにしてさえ、リア・タイヤをブレークさせることはできなかった。デフをダイナミック・モードに入れてさえ、ひたすらニュートラル・ステアに徹したのだ。
ステアリングも同じモードにすると、フィールはそのまま、粘るような重さが増加する。サスペンションは、舗装の悪い道を走るにはやや硬すぎるが、少なくとも柔順ではある。
幸いにも、各部は独立調整が可能で、ステアリングの重さやサスペンションの硬さを増さずに、排気音を高め、デフをダイナミックにし、変速をスポーティにすることができる。
インテリアは、通常のA4より多少スポーティな飾りつけ。シートは快適でサポート性に優れ、ドライビング・ポジションも良好。ダッシュボードは非常に機能的なデザインだ。