ドライバーズSUV決定戦:前編 ―― アウディQ2 vs 日産ジュークNISMO RS vs ミニ・クーパーSカントリーマン

公開 : 2017.02.18 13:42  更新 : 2021.03.05 18:51

日産ジュークNISMOに不満あり

このカテゴリーでは、強力なガソリン・ユニットの商品力はそう高くない。ユーザーが重視するのは、おそらく速さよりも、スタイルと実用性や利便性であり、しかも経済性も追求するからだ。

その前提で速さも欲するなら、ディーゼルを選ぶ方が合理的。そのため、150ps以上のガソリン・エンジンは希有だという状況が生まれている。

ミニにとっては逆に、それがプラス材料となっている。ブランド買収以来、BMWがエンジン・パワーにこだわり続けてきたおかげで、マイノリティながら確実に存在するニーズをガッチリと掴めているのだ。

カントリーマンもまたその文法通りで、今回のクーパーSは、クラブマンと同じUKL2プラットフォームに2.0ℓ/192psを積み、ほかの2台に対する優位性を即座に示した。しかも、今後はよりパワフルなプラグイン・ハイブリッドやジョン・クーパー・ワークス版の搭載も予定されている。

数字だけを見ればもっともパワフルで、0-100km/h加速タイムでも秀でているのはジュークNISMO RSだ。

ところが、実際に走らせてみると、パワー・デリバリーがあまりにもピーキーだと思い知らされる。

低回転域でのターボ・ラグが大きく、中回転域ではサージングが発生しやすい。5000rpmあたりからは、厚みがなく甲高いサウンドを発する。

上限までの残り1000rpmは爆発的なパワーが戻ってくるが、これは明らかにCPUの意図的なプログラムによるもので、実際より速く感じさせるための演出だ。

結果として生まれるドラマティックな出力特性と攻撃的なサウンドは、ファクトリー・チューンと呼ばれるクルマに期待されるものになってはいる。ただし、長所だけでなく、短所でもドライバーの注意を引くようなエンジンを、素晴らしいとはとても言えない。


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