オンロードでの鋭いハンドリングとオフロードでの優れた走破性、それらを両立する上で欠かせないボディ剛性も、並外れて高い。

ランドローバーのような、本格的なオフロードに特化したセッティングは用意されていないが、ヒルディセント制御やステアリング・ホイール・ヒーターのような、過酷な環境に対応したデバイスは装備されている。

メカニズムは、ドライビングを楽しませることに主眼をおいているが、フェデーリら開発チームが打ち立てようとしたのは、通常のSUVのそれを越えたダイナミクスの基準だ。

ヒップ・ポイントを190mmも引き上げながら、ジュリアのハンドリングをそこに再現しようというのである。

それもトリッキーなロール制御デバイスなどに頼らず、スプリングやスタビライザーの硬さを調整することで、ジュリアがみせるロールの少ないコーナリング姿勢をも再現できると、フェデーリは確信していたようだ。

となると、ひとつの疑問が浮かんでくる。「乗り心地は大丈夫なのか？」と。

その対策が、ダンパーの専用開発ということらしい。なお、今回はガソリン仕様を主に試乗するが、いずれも電子制御の類を備えないパッシブ・ダンパー仕様であったことをお断りしておこう。