確かに、Q4システムは活発な反応を見せ、興を削ぐような感覚はない。前輪への駆動力は最高50％まで分配されるが、これは50:50の前後重量配分にマッチした設定だ。0-100km/h加速はガソリン車が5.7秒で、これは最新版のVWゴルフGTIと同タイム、ディーゼル車は6.6秒をマークする。

バロッコのやや滑りやすい舗装は、シャシーの実力を試す絶好の機会を提供してくれ、速度域の低いタイト・コーナーでは、強固なリア・エンドがスライドを許容してくれるという楽しい発見があった。

DNAシステムでダイナミック・モードを選べば、ある程度まで滑らすことができるが、心拍数を跳ね上げるほど過剰ではない。

ESPの完全オフは不可能で、アンダーステア傾向を示すが、おそらくそれは賢明な判断だ。

120km/hほどの高速コーナーでは、やや不安になるほどコーナーの外側へジリジリと膨らみだすが、サーキットは特殊な環境だ。

幸いにも公道上では、そのようなシチュエーションに遭遇することはまずない。その真の実力を明らかにするのは、それこそステルヴィオ峠のような、ツイスティでバンプだらけの道だろう。とはいえステルヴィオは、今回試乗した限りでは期待以上の走りをみせてくれている。

シートの折りたたみや荷室容量をはじめとした、日常遣いでファミリーカーに求められる要件も十分だ。ステルヴィオの後席は広く、荷室はスクエアで奥行きがある。

ただし、サイド・パネルの形状を工夫すれば、荷室幅はもっと拡げられただろう。また、荷室には後席の折りたたみ用のレバーも据え付けられるが、あくまでロックをリリースするのみで、背もたれを直接倒す必要があるのだから、無意味な気もする。

それでも、背もたれは荷室フロアとフラットになるまで倒せるし、電動テールゲートが標準装備されるのもありがたい。