セアト・レオン最強モデル「クプラ300」に試乗 ゴルフRとフォーカスRSは要覚悟
公開 : 2017.02.24 19:42 更新 : 2017.05.29 18:43
■どんな感じ?
従来のレオン・クプラと、メカニズムの変更は全くない。0-100km/h加速の短縮は0.1秒に過ぎず、最高速度はいずれも250km/hに制限される。
ところが実際に走らせてみると、公道でも、試乗会場となったスペインの素晴らしいカステージョリ・サーキットでもそうだが、確実に、そして激しく速い。
ただし、集中力を高め、達人級のデリケートなスロットル操作を行うことは、やはり必要だ。エンジンはアイドリングのやや上からのピック・アップは小気味よいが、そこからレッド・ラインまでの間はかなり強いサージングが発生する。
悲しむべきは可変レシオのステアリングで、無感覚で一貫性に欠ける傾向がある。
クルマがどこを通るか常に考えることを要求し、直観的にエイペックスを捉えることは難しい。ブレーキ・ペダルは踏み始めに気難しさがあり、ハルデックス・デフは駆動力の振り分けに苦闘する。
技術面に多額の投資をしたことが感じられるライバル車に比べると、トリッキーな道では粗野な部分が見えてくる。
しかし、それは単にひとつの側面に過ぎない。乗り心地に素っ気なさがある一方で、高性能ハッチバックとしては快適性でほとんどのライバルを上回る。
ペースを落とし、走行モードをルーズな方へ切り替え、アダプティブ・ダンパーもスロットルのレスポンスもソフトなセッティングを選べば、操作の困難さは影を潜め、普段遣いが容易になる。
■「買い」か?
レオン・クプラを選ぶ妥当性は、速さと使いやすさの二面性によって保たれた。
さらに、ワゴン・モデルのSTには、クプラ初の4WDが、DCTとの組み合わせのみだが設定されたことも付け加えておきたい。これにより、トラクション問題はかなり解消されており、パフォーマンスも使い勝手も、同じVWグループのホットハッチの兄貴分とでもいうべきゴルフRに近づいた。もちろん、価格もではあるが。
それでも、今回の最も安価な仕様を、乗らずに見過ごすべきではない。
リーズナブルな速い万能ファミリーカーであり、その幅広い能力が、より高価なライバルにないものを埋め合わせて余りあるほど巧みであるかを、自ら触れて確かめる価値があるクルマだ。
セアト・レオン・クプラ300
価格 | £29,840(423万円) |
全長×全幅×全高 | NA |
最高速度 | 249km/h |
0-100km/h加速 | 5.8秒 |
燃費 | 14.5km/ℓ |
CO2排出量 | 158g/km |
乾燥重量 | 1395kg |
エンジン | 直列4気筒1984ccターボ・ガソリン |
最高出力 | 300ps/5500-6200rpm |
最大トルク | 35.7kg-m/1800-5500rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |
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