PHV決定戦:前編 ―― BMW330e vs アウディA3 e-トロン vs VWパサートGTE vs ボルボV60 D5ツイン・エンジン
公開 : 2017.02.25 11:09 更新 : 2017.05.29 19:29
容赦なき数値テスト 振り落とされるクルマも
PHVに想定される使用状況に近いかたちでテストするべく、今回は短距離のコースで、4台を代わる代わる走らせた。それが、この手のクルマに対する最大の疑問を解決する最良の手段だからだ。
すなわち、非現実的なカタログ燃費ではなく、実燃費はいかほどか、そして、EV走行の航続距離は、カタログ値にどこまで近いのか、を知りたいのである。
なお、テスト当日は真冬だったが、気温が5℃を下回ることはなかった。そのため、駆動用バッテリーにとって最悪の環境ではなかったことを、念頭に置いていただきたい。
フル充電で、市街地と幹線道路を50km程度走るテストであり、前半は渋滞で有名な西ロンドンが舞台だったが、それでも燃費はいずれも28km/ℓを超えた。
最下位は330eだが、これは予想できたことだ。エンジン出力は4台中最強で、一方バッテリー容量は最小なのだから。
それでも28.5km/ℓというのは、いまだ20世紀基準が拭いきれないわれわれならずとも、ちょっとした驚きを覚える。なにしろこれは、250psオーバーの3シリーズに違いないのだ。
3位はパサートGTEヴァリアントで、燃費は28.9km/ℓ、2位はA3スポーツバックe-トロンの30.6km/ℓ。いずれもガソリン・ターボとギアボックスの間にモーターを接続するフォーマットは共通で、総体的には予測の範囲内でもある。
A3の数字は、やはり車両重量が燃費に与える影響は小さくないことを示した。パサートの場合は、洗練された制御の賜物だろう。モーターの惰性運転やエネルギー回生などのコントロールでは、ほかの3台の上をいく。
トップの数字を出したのは、ベース車の登場年次がもっとも古く、エンジンも年季が入った5気筒を積むV60 D5ツイン・エンジンだった。
ディーゼルの燃費もさることながら、4台中では最大の駆動用バッテリー、独自の構造も結果に寄与。リア・アクスル付近に独立して設置されたモーターは、ダイレクト・ドライブのギアボックスを介して後輪を駆動する。
これにより、V60はほかのテスト車よりもピュアEVに近いフィールを実現。市街地ではスロットル・ペダル(厳密に言えば、電気モーターにスロットルは存在しないが)の操作に素早く反応し、エンジン側に接続して通常のトランスミッションを介するより効率的に走行できる。結果、このラウンドでは最高の54.4km/ℓが達成された。
となれば、EV走行の航続距離もこの順位になると推測するだろうが、話はそう単純ではない。