PHV決定戦:後編 ―― BMW330e vs アウディA3 e-トロン vs VWパサートGTE vs ボルボV60 D5ツイン・エンジン
公開 : 2017.02.26 11:24 更新 : 2017.05.29 19:29
注目度の高まるPHV市場から、欧州混合モード35km/ℓオーバーを謳う550万円以下のDセグメント・モデルを選びテストする。後編では数値以外に注目。はっきりと勝負をつける。
数字を超えた ‘なにか’
評価基準をパワートレイン限定からクルマ全体へと拡げたとき、無視できないのはV60が ‘古いクルマ’ だということだ。
もし新車を買うのなら、古臭い印象のクルマは選びたくないだろう。しかし、やや限定的で椅子に座るようなドライビング・ポジションからインフォテイメント・システムのレイアウトまで、ボルボのそれは最新の流行から遅れているように見える。
現行3シリーズの登場は、V60のそれから2年後である2012年だが、それを感じさせないのは、8.8インチ・ディスプレイなどの装備類によるところが大きい。A3とパサートはそれらより世代が新しく、キャビンのプレミアム感や質感でもほかの2台を上回る。
一方、実用性の検証にあまり時間を割くのはやめておこう。Dセグメントのセダンとワゴン、Cセグメントのハッチバックと、サイズもカテゴリーも違うクルマの間で、それを比較しても無意味だからだ。
敢えて言うなら、パサートがワゴン・ボディを利して優位に立ち、4ドア・セダンの330eとCセグメントのA3はそれに譲るということになる。
ただし、V60については異なる事情も介在して、評価が単純ではなくなってくる。ボディ・サイズの大きいワゴンでありながら、後席と荷室はそれに見合わないのだが、これは基本設計の問題ではなく、後輪駆動用モーター搭載の弊害なのだ。
となれば、それは大きなメリットとのトレードオフであり、このクルマを買おうというユーザーに、その決意を曲げさせるほどの問題点ではないと、個人的には考えている。
むしろ、A3の方が問題ではないだろうか。
なぜなら、今回、車格が上のモデルに混じってここにいるのは、それらと価格帯が近いからだ。実用性がサイズなりにあれば不満はないが、同じ価格でより大きいクルマが買えるとすれば、そちらを選びたくなるのが人情というものではないだろうか。もっともそれとて、20世紀的な価値観に囚われた個人的な見解に過ぎないかもしれないけれど。
さて、いよいよ走りについて述べるときが来た。