スマート・フォーフォーのEV版は「あえて買うべき」? 冷静な見極めが必要なワケ
公開 : 2017.02.27 12:10 更新 : 2017.05.29 18:43
■どんな感じ?
スマートにとって、都市部は主戦場で、そこではEDの方が優位性を発揮すると聞けば、さもありなんと思うだろう。
EVがことごとくそうであるように、ゼロ・スタートでの加速は猛烈だ。0-100km/h加速タイムが12.7秒と聞けばたいしたことないようだが、50km/h程度までの出足の良さは、市街地でのこの上ない強みになる。
しかも、新型の電力制御システムにより、走りがスムースになった。
もちろん、4ドア4座ゆえに車両重量はフォーツーより増しており、加速感はスポイルされている。それは数値にも表れており、0-97km/h加速は1秒以上遅い。
ガソリン車と比べれば、バッテリーによって140kgほど重くなった。ただし、低く設置されたそれは重心高を下げ、ハンドリング改善に寄与するという利点もある。
ステアリングはガソリン車同様、極めて軽く、フィールに欠けるが、精確さだけは備えている。
最小回転直径9.05mはフォーツーの6.95mほどの驚きはなく、ガソリン車の8.65mより多少大きいが、それでも取り回しは上々。日本で言うところの最小回転半径は、当然ながらこの半分程度の数字となる。
乗り心地は骨まで響くほどではなくなったが、それでも落ち着きのなさは残っている。重量増加に対応するべく、スプリングとダンパーはガソリン車より硬められているからだ。
そのぶんボディはコントロールしやすくなった。それなりの距離を移動しても不快ではない。
ブレーキ・ペダルのフィールはやや柔らかいものの、スロットル・オフでの回生ブレーキは利きがいい。通常モードでは、レーダーによって周囲の交通状況を検知し、利き具合を調整する。
エコ・モードでは最高速度が制限されるほか、スロットル・ペダルへの反応が穏やかになり、対して回生ブレーキは最大限働かせ、航続距離を数kmのみだが延ばす。
ただ、渋滞を離れ速度を上げると、このスマートは分が悪くなる。パワーには不足を感じるようになり、ステアリングは軽いまま。低速域では平穏だったキャビンも、風切り音とロード・ノイズが多少気になり始める。