ベントレー・ミュルザンヌ・スピードの「スピード」はの本質とは?
公開 : 2017.03.01 12:10 更新 : 2017.05.29 19:02
インテリアは贅沢な造りで、形状を変更したシートも素晴らしい。ソフトだがサポートは適切で、身体にピッタリとアジャストできる。この上なくうれしくなる出来栄えで、リビングに1脚欲しくなるほどだ。
ダッシュボード周辺では、8.0インチの新型ディスプレーを装備するが、このインフォテイメント・システムは、今回のフェイスリフトでも特筆すべき改善点のひとつだ。ルックスは高級感に満ち、グラフィックとレイアウトは専用に仕立てられた。タッチパネルのほか、ロータリー・スイッチと音声認識でも操作でき、多様な機能も扱いやすい。
一方で、相変わらず数が多いスイッチ類は、操作時に混乱を招きやすく、古風な印象で見た目も損なうので、もう少し減らした方が良いように思われる。
60GBのHDDを搭載し、ネット接続機能も完備。オプションの ‘エンターテイメント・スペシフィケーション・パック’ を選択すれば、ネイム製の高級オーディオシステムや前席シート・バックに収納される2基の後席用10.4インチ・タッチパネルとワイヤレス・ヘッドフォンが追加される。好みのアプリをインストールすれば、グーグル・マップを利用した経路上や目的地の周辺情報の検索や、ゲームや動画などを後席で楽しむこともできる。ただし、価格は£14,890(209万円)と高額だ。
■「買い」か?
言いづらいことだが、このベントレーはドライバーズカーでもなければ、ファントムと比べてしまうと、このクラスの代表格というべき高級リムジンとも呼び難いものだ。
ただし、ファントムは昨年内に生産を終了しており、来年の新型発表までミュルザンヌはライバル不在の状態にある。
メルセデス・マイバッハがあるではないか、という声も上がりそうだが、あれはあくまでもSクラスの高級仕様で、同じ土俵に上がれるクルマではない。
そして、ミュルザンヌ・スピードは単体で見ればやはり非凡なクルマで、運転したい、もしくは所有したいと思うに足る理由はいくらでも挙げられる。
強烈な加速は何度味わっても衝撃と驚きをもたらし、細部にまで感じられる手造りの精緻さには惚れ惚れする。ドライバーズカーではなく、高級スポーツカーなどとは違う基準で測られるべきクルマだが、人々を魅了するという点では同じだ。
クルマ好きとしては、こういう存在が長くあり続けることを、願わずにはいられない。
ベントレー・ミュルザンヌ・スピード
価格 | £252,000(3,531万円) |
全長×全幅×全高 | 5575×1926×1521mm |
最高速度 | 306km/h |
0-100km/h加速 | 4.9秒 |
燃費 | 6.7km/ℓ |
CO2排出量 | 342g/km |
乾燥重量 | 2685kg |
エンジン | V型8気筒6752ccツイン・ターボ・ガソリン |
最高出力 | 538ps/4000rpm |
最大トルク | 112.1kg-m/1750rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |
▶ 海外初試乗 / BMW 760Li SE
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