ジャガーI-PACE、価格未定も350台のデポジットを既に確保

公開 : 2017.03.02 15:44  更新 : 2017.06.01 00:28

ジャガー初のEVモデルであるI-PACEは、昨年11月のロサンゼルス・モーターショーで公開されたばかりで、その価格などはまだアナウンスされていない。にもかかわらず、350台のオーダーをデポジットと共に確保しているという。

価格はF-PACEの10%から20%アップ

最終的なプロダクション・モデルは、今年の後半まで明らかにされない予定で、昨年のロサンゼルス・モーターショーではあくまでコンセプト・モデル的な意味合いで出展されたI-PACEだが、気の早い顧客が350人ほどいて、既にデポジットを収めているという。

価格はF-PACEの10%から20%アップとなると予測されており、£60,000(840万円)程度となろう。しかし、ジャガーはその価格に関しては固く口を閉ざしたままだ。

I-PACEは、ジャガーの81年の歴史の中で、最もラディカルなモデルだ。モーター駆動の電動SUVであるI-PACEの生産は、昨年11月のロサンゼルス・モーターショーの後、およそ18ヶ月後から生産が開始される予定だという。

ジャガーはこのI-PACEについて、広大で、スポーティで実用的なパフォーマンスSUVとアナウンスしている。そして、そのデザインは、F-PACEとほぼ同一かという予測もあったが、そうではなく独自のデザインが与えられた。また、EVによる4輪駆動だが、そのパフォーマンスはリア・ホイール駆動のF-タイプRを凌ぐものとアナウンスされている。

アーキテクチャーは「エレクトリック・スケートボード」

I-PACEは、EV用の新しいアーキテクチャーを持つ。このエレクトリック・アーキテクチャーは、エレクトリック・スケートボードというあだ名が付けられ、既に生産に移行する準備がされているという。その基本は現行のジャガーと同様、アルミニウムを主体としたものだ。バッテリー・パックのハウジングは材料からJLR製で、ボディ・ストラクチャーの一部をなす構造だ。

その駆動は、2つの同期型永久磁石モーターによるもので、前後それぞれのアクスルに1個ずつ搭載し、それぞれのアクスルを駆動する。組み合わせられるトランスミッションはシングルスピードだ。当然ながらモーターは、2本のアクスルの間で、トルクを即座にコントロールする。

モーターの出力は、1基あたり200ps。合計で400ps、トルクは71.5kg−mだ。パフォーマンスは、0-96km/h加速が4.0秒だとアナウンスされている。

JLRのビークル・ライン・ディレクターであるイアン・ホーバンは、「EVはギアシフトもなく、遅れのないレスポンスが特徴だ」と語っている。「内燃機関に比べて優れたトルク・デリバリーは、いままでのドライビング・エクスペリエンスを大きく変えるものとなる」とコメントしている。

ニュー・ヨーロピアン・ドライビング・サイクル(NEDC)の測定方法で、航続距離は500km。90分間のチャージで全体の80%を充電可能で、2時間でフル充電できるという。チャージ・ソケットは、クルマのフロント・ウイングに埋め込まれる。

今回、ジャガーのエンジニアは、小型化と効率化のため、社内でモーターを設計し開発した。モーターは234mmの外径、長さ500mmで、重さは38kgだ。効率が良く、重さの面でも有利なため、テスラのような誘電モーターではなく同期型永久磁石モーターが採用されたという。

バッテリーは90kWh。セルは36のポーチ・セルを使用した。ポーチ型セルを利用したのは、低い温度でも性能が発揮できることと、将来性が見込まれること、そしてより大きなものにも、より小さいものにも対応が可能という理由からだ。

バッテリーの冷却は、専用の2モード・クーリング回路で行なわれる。適切な周辺温度であれば、ラジエーターのみでの冷却となる。より高い温度が発生した場合は、エア・コンディショニング・システムが動作し、冷却補助をするという。


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