日産ジュークR
公開 : 2012.03.03 11:58 更新 : 2017.05.29 19:28
■どんなクルマ?
エキセントリックなルックスを持つポピュラーなクロスオーバーに、今迄に聞いたことのないような性能をプラスして、スーパーカーを再定義するとすれば、あなたは何をすればいいのか。その回答はシンプルだ。エキゾティックな外観を持つクロスオーバーモデルに485bhpの4WDシステムを結合すればいいだけなのだ。
もちろん、既に日産ジュークにはターボ付きの4WDモデルが存在する。しかしそれは188bhpのDIG-Tであり、聞いたことのないような性能を持つモデルではない。
日産が東京モーターショーで展示したジュークNISMOコンセプトが、ジュークRとして現実に現れた。しかし、このジュークRは、その話題がウェブコンテンツを独占することになったとしても、あなたの地元のディーラーから購入することはできないだろう。
■どんな感じ?
販売されるかどうかは別にしても、ジュークRは注目に値するクルマであることは間違いない。NTCE(クランフィールドにある日産ヨーロッパ・テクニカルセンター)とNDE(セントラルロンドンにある日産デザインセンター)のサポートを得て、豊かなレース経験と技術を持つレイ・マロック社(RML)ーーおそらく1990年代の日産プリメーラでBTCCを戦ったことでも有名ーーによってジュークRは設計・構築された。
ジュークRの生産にゴーが出てからちょうど22週間で完成した。GT−Rのコンポーネンツがそのままでは簡単に移植できないと判ると、RMLのスタッフは必要以上にスクラップのジュークの部品でワークショップの床を散らかすよりも、CADモデルによって検討をはじめた。GT-Rの精巧な駆動装置が、ジュークの短く縦に長いボディに入るかが問題でした。GT−Rの複雑なシャシーシステムは移植を拒んでいるようだった。そのため、ドラスティックな方法をとるしかなかった。それは、GT-Rのシャシーを2つに切り分け、250mm短いホイールベースのために、短いプロペラシャフトを採用するだった。チームが驚き、そして喜んだことに、GT-Rの駆動システムは、巧く駆動したのだった。
ロールケージを乗り越えるとOMPのバケットシートがある。しかし、クロスオーバーとしての装備が多くあるため、どんなマシンに乗っているのか心が迷う。実際、ジュークそのままのセンターコンソールや計器類、そして高いルーフラインは、GT−Rに乗っているのではないということだけをはっきりとさせる。
但し、センターコンソール上部にあるドライバー・インフォメーションは、このクルマがツインターボ3.8リッターV6を搭載するただ者ではないクルマであることを示してくれる。前輪で65mm、後輪で75mm広げられたトレッド、GT-Rと同じホイール、ブレーキ・コンボなどがジュークRが何者であるかを表現している。
ジュークRをスタートさせるのは非常に容易だ。ブレーキに足をおいてギアセレクトを「A」にするだけでいい。だたし、自分でギアをセレクトするのであれば「M」を選んで、GT−Rと同じようにステアリングホイールの後ろに付けられたパドルでシフトする。
スロットルを踏むと、感動的な、頭を後ろにもっていかれてしまうような加速が味わえる。それがこの小さいクロスオーバーからもたらさせていると思うと、自分の感覚が怪しくなるほどだ。
GT-Rに対してホイールベースを短くしたことにより、シャシーの反応は当然変わった.思ったコーナーラインを素早くとることができる。しかしそこからは慎重さが必要だ。1806kgと決してライト級ではないジュークRは、コーナーの立ち上がりではアンダーステアになるからだ。ジュークRの開発チーフであるマイケル・マロックも、安全のためにアンダーステアな味付けにしたと言っていた。そのため、コーナーの立ち上がりで売り物であるはずの爆発的な加速をフルに発揮することはできない。
■「買い」か?
実際ジュークRは、マーケティングにおける話題造りの1台でしかない。あまり真剣にとってしまわなければ、速く、楽しく、劇的な1台であることは間違いない。
(アダム・トウラー)
日産ジュークR
価格 | NA |
最高速度 | 160mph |
0-62mph加速 | 3.7秒 |
燃費 | NA |
Co2排出量 | NA |
乾燥重量 | 1806kg |
エンジン | V6 3799ccツインターボ |
最高出力 | 485bhp/6400rpm |
最大トルク | 434lb.ft./3200rpm |
ギアボックス | 6速デュアルクラッチ |