一足先にフォルクスワーゲンI.Dコンセプトにトライ 「未来を目撃した気がした」理由とは?
公開 : 2017.03.06 18:50 更新 : 2017.05.29 18:56
ゴルフというよりもポロに近い、4.1m程度の全長だが、そのホイールベースはパサートのそれよりも若干短く、モーターが後方にあるため、通常のクルマよりも旋回性がよい。最小旋回直径はたった10m以下である。
車内は想像を超えるほどのスペースが確保されており、金属製の屋根を支える支柱はとても細く、ガラスの面積はとてつもなく大きい。そこから見える眺望は、たった今膨らんだばかりの巨大なシャボン玉の中から見ているそれだ。
製品版にもう一本支柱が追加されるかどうかはわからないが、ルウデラルベルト氏によると製品版のドアは、コンセプトカーが採用している電動開閉式のものではなく、平凡なものとなるようだ。しかし、そうなってくるとBピラーなしでそれを実現するのは困難であると思うのだが。
予想どおり、I.Dを運転することは困難をともなう。試乗はポルトガルのリスボンのマリーナ沿いにある、短い距離の歩行者スペースに限定されて行われ、この試乗においてフォルクスワーゲンは、最高速度を32km/h以下にすることを厳格に守らせた。
このクルマの加速は鈍く唐突である、この速度域でも製品版が謳う8.0秒以下の0-100km/h加速性能を読み取ることはできなかった。
しかしこのコトに拘るあまり開発の足を止めては本末転倒である。ほとんどのコンセプトカーと名乗るクルマ達は、それらが持つ出力の源を駆使して走る事さえままならないのだから。
だから、製品版がどのようなものになるのかを、いろいろと推測することに利益はない。奇妙な仕掛けのクルマに数分試乗したからと言って、できたてホヤホヤのコンセプトをポルシェ918に見立てるのは早合点というものだ。
大切なのはこのコンセプトカーに宿るアイデアであり、突貫工事の出来栄えではない。