買収劇を “深読み” PSAにオペル/ヴォクゾールを手放したGM
公開 : 2017.03.07 11:24 更新 : 2017.06.01 00:28
取締役には知らされなかった買収劇
GMとPSAによるオペル、ヴォクゾールの買収話について、オペルの上級取締役すらその話を知らされてなかったことが、ドイツの週刊誌、デア・シュピーゲルの取材で明らかになった。
オペルとヴォクゾールは、GMのヨーロッパ部門を担う部門である。にも関わらず、オペルのボス、カール・トーマス・ノイマンを除く取締役は、このニュースに関して数週間前まで知らされていなかったという。それがこの2ブランドをPSAに売却するものだと知ったのは最近のようだ。
つまり、GMはオペルを蚊帳の外においたまま、PSAと交渉に当たっていたのだ。
GMのCEO、メアリー・バーラは、オペルの取締役と話すために、ある時期にドイツへ向かったことも確認されている。バーラからオペル、ヴォクゾールの従業員に宛てた手紙には、GMがこの2つのブランドを売却する可能性があり、PSAとオペル、ヴォクゾールが変化の激しいヨーロッパ市場で生き残るために、互いに利益を確実にすることを尊重したい、と記してあった。
PSA側のメリットは、シェア拡大
今回の買収劇のメリットは、PSAにとってはヨーロッパ市場で240万台以上を販売し、シェアが16%となる欧州第2位のビッグメーカーになるということだ。ルノーを追い越し、フォルクスワーゲンに次ぐメーカーとなれば、プレゼンスも大きく変わる。
2016年のオペルの販売台数は979,427台、PSAグループは1,446,052台。これを合計すれば、実際に昨年のルノーの販売台数、1,496,394台を大きく抜く。
GM側のメリットは、選択と集中
2009年の財政危機も含めて、GMヨーロッパは16年間赤字のままだ。GMは2016年に黒字に転換すると予測していたが、ユーロ離脱の影響でポンドが下落し、ヴォクゾールは2016年には$3億(341億円)の損失を発生した。これは結果的にオペルの$2億5700万(292億円)の赤字に繋がっているので、GMは長期的に見てこれらのブランドを手放すべきだと判断したのだ。
一方、PSAは2013年に破産の危機を迎えた。そのためこのフランスのメーカーは、25.6%の株式を、半分はフランス政府に、そして半分は中国の東豊に売却することになる。その後、間もなくPSAはいくつかのプラットフォームでオペルとの協業を始めている。これが、今回の買収激のきっかけのひとつになったという話もある。
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