アバルト595コンペティツィオーネはホットハッチ未満か ルーテシアR.S.との実力差は?
公開 : 2017.03.08 19:37 更新 : 2017.05.29 18:23
残念ながら、そこはマイナーチェンジを経ても変わっていない。新型LSDの作動は断続的なフィールで、アンダーステアに早々と屈する傾向は消えていない。
スロットルとブレーキで走行ラインを修正できるようなクルマこそ、優れたハッチバックだと思うのだが、この595にそういった深みはない。
これは、現在のマーケットでもっとも魅力的なホットハッチとは呼びがたいが、しかし、これまで通り二点間の移動が驚くほど速いのもまた事実。
コニの減衰力調整式ダンパーは、素晴らしいボディ・コントロールをこのクルマに与え、クイックな方向転換時にも車体をフラットに保ってくれる。
路面が荒れていると、キャビンがそれなりに騒がしくなるのもまた事実だが、これは想定の範囲内。スラロームでの精確な挙動の代償だと思えば妥協できる程度だ。
堪えがたいのは、カーボン・フレーム・シートである。アルカンターラの表皮にはじまり、戦闘機にインスパイアされたというレバーに至るまで、£1,200(17万円)もするとは思えないほどクオリティが低い。
しかも、日常遣いには向いていない。
クッションは最低限で、ランバー・サポートはなく、背中が痛くなること請け合いだ。またスポーティなルックスにもかかわらず、体がスッポリ収まるのではなく、普通のシートに腰掛けるのと感覚は変わらない。
そのうえ、調整レバーやダイヤルは、ドアを閉めたままではまず手が届かないような位置にあるのだ。