マツダCX-3で、コンチ・バイキング・コンタクト 6を検証

公開 : 2017.03.13 08:55  更新 : 2021.10.11 13:56


IN側は雪路、CENTERは氷路

2月にはわざわざ雪道走行に出向いてみた。こういう地域で恐る恐る走っていると、地元ナンバーの車両があっという間に後方から追いついてくる。

無理をせずに彼らと同じペースまで上げてみると、不思議と安心感が湧いてきたのは発見だった。クルマが自分の想像と同じ動きをしてくれたから、不慣れなコンディションでもスムーズに走れたと言う方が正しいかもしれない。

普通のスタッドレスと違う点

スタッドレスタイヤは一般的に、「氷上で路面にどれだけ噛みつけるか」というブレーキ性能がもてはやされる。それは確かに正しい指標だ。しかしCVC6は、「思い描いたラインで雪道を走れるか」が基準になっている。カーブに入るときにノーズの入りが遅れていては、冬場の安心感は絶対に生まれない。


午後4時を過ぎると、それまで雪路に見えていたところがアイス路面になってくる。トレッドのセンター部分に氷路でキモとなる “接地面積の最大化” を優先したこのタイヤ。イン側は、ブロックの隙間を覗くと小さな突起が無数にあり、雪のうえでチェーンのように機能するという。今回のように雪道のなかに部分的な凍結箇所があっても、イン側とセンター側とでしっかり対応できるから、クルマの動き自体には一貫性が生まれる。それゆえドライバーとしては慌てずにコントロールできているという実感が続く。3種のトレッドを一本のタイヤにまとめても、それぞれの性能が1/3にはならないのだから、タイヤづくりというのは奥深い。

夜間の移動で意外に有り難かったのが、ハイビームを基本とした走行ができるHBC(ハイビーム・コントロール・システム)。エントリーグレードでもインテリア・エクステリアともにこの質感なら十分だろう。



結局のところ、ドライでも、氷路でも、雪道でも、ドライバーがコントロールしやすければ、スタッドレスタイヤ特有の運転疲れとおさらばできる。これは教訓だった。“クルマ本来の走り” のためにトレッドを3分割したドイツのタイヤメーカーの発想。もっと市民権を得てもいいと思う。

記事に関わった人々

  • 徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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