BMW M760Liと1000kmの旅へ アウディS8やAMG S65より優れているところは?
公開 : 2017.03.13 17:20 更新 : 2017.05.29 14:39
トラクション・コントロールを解除すると、2トン以上もあるこのクルマのテールをいとも簡単に振り回すことができる。巨体が5シリーズほどの大きさにしか思えないのも不思議だ。
秘密は、とても優れた姿勢制御にある。スポーツ・モードはロールを抑制するが、揺れの全域で安定性を維持する十分な順応性を持ち合わせているのだ。
後輪操舵のおかげで、俊敏な動きも可能にしている。ステアリングは、軽くて現実的な感応度に欠けるが、クイックで正確、そして十分な応答性を備え、自信を持ってクルマの鼻先を操ることができる。
では、M760Liのラグジュアリー・カーとしての、キャラクターはどうだろうか? コンフォート又はコンフォート・プラス・モードを選べば、その答えはわかる。
ユーロスターにでも乗っているかのような超絶とした平静を保ち、タイヤからの雑音は皆無。浮かんでいるような錯覚を覚える。ドア・ミラーからのほんの少しの風切り音で、クルマを運転していることを悟るくらいだ。
しかし、路面のよくない幹線道に差し掛かった頃に、不満が生じはじめた。
前触れもなく、このクルマは落ち着きがなくなり、極太の20インチ・タイヤからはロード・ノイズが発生する。鋭利なくぼみを通過する際には、ドタンとした鈍い感覚が車内に侵入する。
しかし、同じような扁平タイヤを履くライバル達にも同じ事は起きるから、クルマを責めるよりも、路面を責めるほうがいいのかもしれない。