ジャガーI-PACE、ジュネーブでコンセプトを初試乗 価格未定も2018年には発売か
公開 : 2017.03.17 11:41 更新 : 2017.05.29 18:37
F-PACEよりC-X75を思わせる
「会社としては、5年ほど前に気付いたのです。将来的な苦難からわたしたちを救うための、今の手札でできる最善の策は、関係各位が早期に集まって意志決定することだろうと」
「デザイナーたちが美的に満足するようなものを造ったら、それを渡されたエンジニアたちは、デザインはいいけれど、どこそこは実現できない、こっちは成立しない……と頭を悩ます結果になります。であれば、全員が一致団結して、最初から事に当たった方が、すべては早く進むんですね」
ビーヴェンが後を受ける。「デザイン部門は、コンセプトモデルと並行して、市販バージョンの作業も進めてきました。心がけてきたのは、大風呂敷を広げないことです。市販モデルはショーカーからあからさまにトーンダウンするべきではありません。極めて近いものになるべきなのです」
「デザイナーたちにとって、I-PACEは大きなチャレンジでした。まったくの白紙からデザインしながら、ジャガーだと認識できるものにしなければならなかったのですから。他社がやるような、EVのサブ・ブランドを新設することは考えられていないのは、最初からわかっていたことですし」
「ですから、I-PACEは誰の目にも明らかにジャガーであるとわかる必要があり、しかもジャガーの伝統とまったく新しいプロポーションを融合させる必要があったのです」
ショー・モデルでありながら、極めて現実的な要素も盛り込まねばならないのだ。そこには苦労も多かっただろう。短いオーバーハングや、空力を重視したと思われるシルエット、キャビン・フォワードのパッケージは、SUVよりスーパーカーの文法に近い。そう、F-PACEよりC-X75を思わせるのだ。また、F-タイプの影響も色濃い。
「フェンダーの峰を、フロントは短く、リアは長くした点は、F-タイプにそっくりでしょう」とビーヴェンは言う。
それを聞いて、はじめはデザイナーにありがちなこじつけだと思ったが、距離を置いてI-PACEを眺めると、彼の言わんとしていることに納得できた。
結局、これがハッチバックなのか、スポーツカーなのか、はたまた新種のSUVなのか、といった既存の枠組みにとらわれている限り、このクルマを真に理解することはできない。
I-PACEはまったく新しいなにかであり、ジャガーが現在イメージする最高のEVなのである。