ジャガーI-PACE、ジュネーブでコンセプトを初試乗 価格未定も2018年には発売か
公開 : 2017.03.17 11:41 更新 : 2017.05.29 18:37
いざ試乗 気になる点も
それでは、靴を脱いで、うやうやしく車内へお邪魔しよう。重いドアにしては、ハンドルが扱いにくい。その不満を察したかのように「ともかく、バタンと閉めるのは勘弁して下さい」とジャガーのスタッフが声をかけてくる。いかんいかん、これはコンセプトカーだった。
しかし乗り込んでみれば、ドライビング・ポジションといい、キャビン各部のレイアウトといい、おそらく市販モデルを予想する目安になるだろうというほど現実的だ。
SUV的なものとしては座面が低く、より開放感があり広々した印象だ。F-PACEと似た感覚を覚える。
その点、ダッシュボードの操作系や計器類の位置は座面に対して低い。そこはやはりSUVの類なのだ。
スカットルは低く、前方視界は良好。目の前にはダッシュボード上部とボンネットが広がり、着座位置は前輪に近い。ヴァージン・スノーのような後席へ踏み入ることは許されなかったが、キャビン・フォワードなレイアウトであれば、高級サルーン並みの広さを備えているに違いない。荷室容量は、530ℓとのことだ。
ドライバー・オリエンテッドな左右非対称のダッシュボードもまたF-タイプを意識したもので、運転席を囲むような弧を描くように色分けされている。
そのアーチ内には計器盤の液晶ディスプレイと、より大きいインフォテインメント・システム用のディスプレイが備わり、連続するセンター・コンソールにはそれより小型のタッチパネルが設置される。
操作系をこれらに統合することで、運転席回りは実にスッキリ。現時点ではいずれも実働せず、そのうちのひとつだけがプログラム・データを明滅させているさまはかつて流行ったSF映画の演出を思わせるが、実用化はきっとうまくいくと思えるものである。
これがジャガーの内装デザインの未来像だとすれば、それはドイツ車的になるということだが、大きすぎる腕時計のべゼルを思わせるエアコンのダイヤルは、もっとデザインが必要だと思う。また、スイッチ類やトリムのデコレーションも不足している。ステアリング・ホイールにはクロームを増やしてほしいところだし、コラムから生えるレバーも物足りない。そうした質感は、ジャガーが長年にわたり磨き上げてきた領域だ。おそらく、それは彼らも重々承知していることだろうけれど。
さて、小さな四角いスターター・ボタンを見つけたら、次は3つあるはずのトランスミッション・スイッチを押して走り出そう。