中村史郎が日産のデザイナーを退職 英国編集部、最後のインタビュー
公開 : 2017.03.25 09:00 更新 : 2017.06.01 00:26
カルロス・ゴーン退任 インフィニティの未来
中村氏がいつになくフランクだったのは、彼は月末をもって日産を退職し、新たな道へ進むからだろう。実はわれわれがそれを知ったのもインタビュー当日。今後、次世代のモデルに携わることがないというのは本当らしい。
わたし、マーク・ティショー個人としては中村氏とは仲良くさせてもらっていた。クルマやデザインに真摯な姿勢の彼は、実に親しみやすかった。
日産は彼が担当したデュアリスやジュークといったモデルで爆発的なヒットを飛ばした。いずれも革命的なモデルであったことは事実で、また、彼のマネージメントが加わったマイクラ(日本名:マーチ)も最初に比べると格段に良くなっていた。
日産が広大な世界の市場を席巻できたのは、世界的な目でデザインと挑戦をしているからだ。
コンセプトカーについては言葉数少なげだったが、日産のラグジュアリー・モデルを見渡しても、インフィニティのほうが良いという見解だった。
しかし、それは必ずしもヨーロッパの消費者に適するとは限らないし、当時のインフィニティのデザイン・チーフが中村氏のグローバルなモデルへの方針について懸念していた、とも語った。
次の日産の大いなるデザインへの挑戦は、経営不振だったころ、時を同じくして入社した中村氏や前CEOのカルロス・ゴーン氏が入社したころ同様の、リーフやジュークなどのような「革新と驚き」に満ちたものとなる、と中村氏は語ってくれた。
カルロス・ゴーンも日産のCEOを退き、どうなるのだろうかと先行きが気になるところだが、中村氏は「彼(ゴーン)が会社を離れることはある意味では良いことだと捉えられると思います。新体制というのは、よいプランが生まれる可能性を意味しますから」と締めくくった。