ブガッティ・シロン初試乗 1500ps、3億4,786万円の数字に媚びず、冷静に
公開 : 2017.03.27 11:50 更新 : 2017.05.29 19:00
ブガッティは適切なテストを約束してくれたが、公道上では法規に則して走るよう念押しされたため、120km/h以上は出せなかったのである。
リスボンまで行ったのはあくまでビジネスで、ポルトガルの刑務所に入れられるためではない。もっとも、大きな声では言えないようなことを、しなかったわけではないけれど。
速かったかと問われるならば、ものすごく速かったと答えておこう。速いクルマはほかにも多いが、速さの質はそれぞれ異なる。
たとえばテスラ・モデルSならば加速は瞬間的で、シロンのエンジンがどのターボを使うか迷っているうちに速度を上げている。アリエル・アトムV8の加速も瞬間的だが、それはスーパー・バイクのように荒々しい。マクラーレンP1もまた独特で、モーターで走り出し、レース・マシンのようなエンジンとのハイブリッド・システムで後輪のみを駆動するそれは軽量さが感じられる。
シロンの加速は、それらのいずれにも増して語るべきものがある。強力な吸気がなされるまでにはかなりしばしばラグがあり、それを望んでから1秒ほどをおいてプッシュし始めると、ノイズを増し、視界を歪めながらペースを上げていく。
サウンドは魂を揺さぶるようなものではないが、不快でもなく、かつ圧倒的。まるで走り出す電車やホバークラフトのそばに立っているようだ。わずかな間をおいてから比較的低い速度まで一気に駆け上がったシロンは、簡単に止まることはない。
ブガッティのテスト・ドライバーによれば、420km/hリミッターに当たるまで加速は衰えないという。恐怖の余りスロットルを戻せば、ブローオフ・バルブが盛大な音を立てて大量の空気を排出する。