0-100km/h加速2.7秒というスーパー4ドア・サルーン、テスラ・モデルS P100Dの真の実力は?
公開 : 2017.03.28 16:48 更新 : 2017.05.29 18:47
強い回生ブレーキはワインディングでも有効
これもその効きの強さを選択可能で、強いモードを選ぶと、完全に停止するとき以外はブレーキ・ペダルを踏む必要がない。ワインディング・ロードなどでも強力なエンジン・ブレーキは大きな武器となり、慣れればほぼワンペダルでコーナーの連続をスムーズに走れる。
一方、そのシャシー配置がもたらす乗り心地やハンドリングにも、独特のものがある。最大のポイントは、床下の低い位置にリチウムイオン・バッテリーを搭載する構造にあり、それゆえに車重が2242kgと重くなると同時に、クルマの重心位置が明らかに低くなる。
その結果はというと、まず乗り心地がいい。上記のような高いパフォーマンスに対応するべく、サスペンションには硬めのセッティングが施されているが、それでも乗り心地はスムーズで快適なものだといえる。試乗車が21インチ径のミシュラン・パイロット・スーパースポーツを履いていたことを考えれば、乗り心地の評価は余計に高まる。
実はハンドリングも大きな魅力
が、ドライビング好きにとってさらに印象的なのは、そのハンドリングである。このシャシーが本来持つ低重心と、アクセルのオンオフによってエンジン車より明確に生み出せる加減速が、モデルSに素晴らしくメリハリのあるコーナリングをもたらす。
つまり、アクセラレーターを閉じつつコーナーにアプローチしてステアリングを切り込むと、モデルSのノーズは吸い込まれるようにコーナーに内側に向きを変えていくのだ。しかも、そこから脱出する際のアンダーステアもほとんど意識されない。
ステア・フィールは若干人工的に感じられるものの、いずれにせよモデルSで走るワインディング・ロードは、すこぶる愉しい。EV未経験の腕利きドライバーは、このクルマでワインディングを走ったら、有頂天になるに違いない。
SUVのモデルXも基本キャラクターは同様だが、ボディ形状のもたらす重心が一段と低く、しかも開口部がモデルXほど巨大でないだけにボディの剛性感も高いモデルSの方が、コーナリングは一段と愉しいというのが僕の見解である。
テスラといえば、自動運転へのアプローチもよく知られたところだ。今回の試乗では、前車追従機能の加減速部分しか試していないが、それは充分信頼に足るものだった。したがって、車線キープやその変更などを含むステアリング追従機能については評価する立場にないが、それらがテスラの得意分野のひとつであることは想像に難くない。