メルセデス-AMG GT Cは「GT R」と「GT S」のあいだ コンバーチブルは911を揺るがす
公開 : 2017.03.31 20:00 更新 : 2017.05.23 16:29
■どんな感じ?
もっとも気になる「走り」
いいクルマだ。じつにいい。
クーペもいいクルマだったが、走りには不満もあった。
ステアリング操作への反応がクイックすぎたのだ。これはAMGが、ホイールベースもボンネットも長いクルマに、必要以上の敏捷性を与えようとした結果だと思われる。また、クーペはコーナリング時にもリアが堪えきれずオーバーステアに転じやすく、ボディコントロールやハンドリングの巧妙さに欠ける。それゆえ、ボディ幅が気になって、思い切り飛ばすのは気が引けるのだ。
そこでAMGは、ロードスター追加を機に、クーペも含めてシャシーに手を入れてきた。
ステアリングの切り始めは相変わらず反応が鋭いものの、コントロールはしやすく、ステアリングの反応はリニアさを増した。予測が立てやすくなり、コーナリングはこれまでより狙い通りに、安心して行え、フィードバックも豊かになった。
今回のGT C仕様はアダプティブ・ダンパーを標準装備するため、乗り心地は適正。さすがに路面のえぐれや不意の路面変化などでは突き上げもあるが、シャシーのねじれや曲げは感じられず、ルーフを失ったものの、ルーム・ミラーが揺すられるようなことも一切ない。
値段だけに、快適性も気になる
クーペより70kgほど重いウェイトの一因であるソフトトップは、素早く開閉できるのはもちろん、オープン時にもクローズ時にも上々のルックスを実現。
クローズ時の静粛性は高いが、運転席側からの風切り音が気になる個体もあり、シールのフィッティングがシビアなのではないかと思われる。オープン時の風の巻き込みは最小限だ。
フードの開閉はどちらであっても、エンジンは期待通り猛烈さを見せつけてくれる。ひと吠えして目を覚ますと、元気なサウンドを常に轟かせる。
ターボ・ユニットとしてはレスポンスに優れ、7段DCTはクリーンかつ効率的に作動し、パドル操作を素直に受け入れる。
自動変速も、走行モードを変更する毎にレスポンスのアグレッシブさが高まるが、いずれにしても速い走りを実現してくれる。
このロードスターで感じた変化は全ラインナップに及ぶもので、GTは911を危ぶませるスポーツカーになった。期待と異なる走りでドライバーを戸惑わせる、リラックス・ムードのGTカーではない。