クルマのテスト・ドライバー、どんな1日? 英国版の編集長がホンダ・シビックで体験

公開 : 2017.04.02 10:00  更新 : 2017.07.03 14:05

「夢見る少年」

ランチのあとはフレッド・ホワイトがわたしの担当になった。コースを2周したのち、悪路のコースへ向かった。悪路で跳ねたり古来の石畳の道を再現した道でも、新しいシビックは安心して、素早く抜けることができた。

ただ、わたしにこのテストは至難の業であった。

どうやって正確に30km/hをキープすることができるのだろう? わたしがトライしても26〜34km/hの間をさまよってしまう。

練習するとすこしはマシ。ただ今回のテストを企画した人たちを満足させるような結果ではなかった。

ホワイトが言うには、「3週間も集中してやっていれば、ある程度思うがまま操れるようになる」とのこと。なんだか、みじめな気もちになった。

次にウエットの路面、しかもダートを走る。上り坂で60km/hまで出し、そのままコーナーに侵入するというものであるが、ホワイト氏が「ぜったい滑るよ」と忠告してきた。ビクビクしている暇はない。

1日も終わりに差し掛かってきたところで、今度はジェイミー・ストリーガーと会うこととなった。

彼も9年間ミルブルックで慣らしてきたベテランだ。ただし彼がおこなうのはアクセサリーのテスト。地味な仕事であるというのは満場一致の意見であったが、しかしこれも必要不可欠な仕事のひとつだ。


彼はドアを開けるなり、イグニッションをONにしたりOFFにしたりして動作をチェック。電動ミラーや、各部のセット・アップ、シートベルトの脱着に至るまで、当たり前のことを何度も繰り返すその姿はコミカルでもあった。

ただ、ゼロをベースに作り上げてきたものなので、各部のチェックが必要なのも当たり前。彼のシリアスな行動は、次世代のクルマの大切な一部分を担っている。

ところで地味な仕事屋のジェイミーだが、彼は同僚と同じく、ドライビングも任せてもらえるような「明日」を待ちわびている。

「ここも、この仕事も大好きです。様々な分野のテストができて、今僕らが望んでいるようなことが将来的にできるようにもなる。夢見る子どもたちが、いまの僕らと同じようなことをやったり、時にはコース上で肩を並べて走るなんてことを想像するとサイコーですね」と語っていた。

彼もまた、夢見る少年のひとりだ。

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