熟成極まったベントレー・コンチネンタル、2台のオープン・モデルを味わう
公開 : 2017.04.06 16:00 更新 : 2017.05.29 19:02
■どんな感じ?
2,500kgオーバーからは考えられないパフォーマンス
今回は、現行コンチネンタルのラインナップから、2台のコンバーチブルをドライブして、その魅力を再確認してみることにした。試乗したのは、コンチネンタル・シリーズの中では車両価格が最も高価なモデルとなる「GTスピード・コンバーチブル」と、デビュー以来、スポーツ志向の強いカスタマーから、常に高い評価を得てきた「GT V8Sコンバーチブル」。スピードには642psの最高出力を誇るW型12気筒が、またV8Sには528psのV型8気筒エンジンが搭載されている。組み合わされるミッションに8速ATを、そして駆動方式をフルタイム4WDとしているのは、両車に共通する仕様だ。参考までに最高速と0-100km/h加速は、スピードが327km/h & 4.4秒、V8Sは308km/h & 4.7秒という魅力的なデータ。スペックシートには、いずれも2,500kg以上の数字が車両重量として示されていることを考えれば、それは驚異的な運動性能ともいえる。
エクステリアやインテリアのカラーに始まり、さまざまな仕様にコーディネイトしていくことが可能なのも、ベントレーのカスタマーに与えられた、オーダー時の大きな楽しみだが、実際に用意された試乗車もまた、各々に個性的でかつ美しい、そしてもちろん上質なフィニッシュが施されたモデルだった。モロッカン・ブルーと呼ばれる、鮮やかなエクステリア・カラーや、ダークティントのアルミ・フェイシア・パネルなどをコーディネイトしたスピードは、まさに究極のパフォーマンスとラグジュアリーというものを、その第一印象から想像させてくれたし、一方のV8Sはバイオレットのエクステリア・カラーと、リネン&インペリアル・ブルーのインテリアで、よりスポーティな、そして若々しい雰囲気が醸し出されていた。4層構造のソフトトップをオープンすれば、インテリアのフィニッシュはさらにダイレクトに視界に飛び込んでくるから、コンバーチブルを選ぶカスタマーにとっては、オーダー時の悩みはさらに大きくなりそうだ。
ドライビング・ファンが最優先されるベントレーのポリシー
まずは642psのW型12気筒エンジンを搭載するスピードのステアリングを握る。これもベントレーの伝統的なスタイルを継承するコクピットまわりは、実に機能的にデザインされている。それはどのようなモデルであっても、ベントレーが常に最優先するのはドライビング・ファン、すなわち走りの楽しさなのだということを主張しているかのようだ。さらに驚かされるのは、リア・シートまわりにも必要にして十分な居住スペースが確保されていること。ソフトトップをクローズした状態でも、圧迫感を強く感じることはないし、シート自体も素晴らしい座り心地とホールド感が印象的だ。これほどまでの高級感に包み込まれると、むしろ少しでも長い時間を車内で過ごしたいという気持ちさえも生まれてくるから不思議だ。オープン・エアの爽快感をドライバーとパッセンジャーの全員で楽しむことも可能ならば、ソフトトップをクローズして、こちらも最高のクオリティを誇るオーディオ・システムからのサウンドを楽しむのもよい。アクセル・ペダルを意識的に強く踏み込まなければ、キャビンは高級サルーンそのものともいえる静粛な空間に保たれる。実際に一般的なストリートや高速道路でのドライブならば、低速域から十分な厚みを感じるトルクの恩恵で、アクセルの開度は常に小さなままで事足りる。