史上最高の魅力を備えた2台の究極の対決、250GT SWB vs DB4GT
公開 : 2017.04.09 00:00 更新 : 2017.05.29 19:34
1950年代後半に登場したイタリア、イギリスを代表する2台のGTカー、フェラーリ250GT SWBとアストン マーティンDB4GT。今や超高価なコレクターズ・アイテムとなってしまった2台ですが、もし1台だけ自分の愛車にすることができるとすれば、あなたはどちらを選びますか。
カンヌへと向かうルート・デ・ラ・コーニッシュ。レーストラックを走るかのように自在に駈け抜ける2台の驚くほど魅力的なクーペは、史上最も洗練されたGTカーだ。ラス・スミスが試乗するが、優劣をつけるのに苦労する。
フェラーリ250GT SWBとアストンDB4GTの2台は、恐らく、資金力のあるお金持ちが日曜日にレースに出場し、平日はゼッケンを外し、自分たちのおもちゃを驚くほど魅力的なGTカーとして運転していた時代の終わりを迎えて以来、最も価値のあるクルマとして1、2を争ってきたのではないだろうか。
この2台は、現代のコレクターのあらゆる願望を満たす超1級のアイテムだ。高級さ、レースにおける実績、戦慄するような美しさ、輝かしいオーナー履歴、そして花形ドライバーたち。また、そのデュアル・パーパスに奉仕してきた実績は、現在も、レースと公道というふたつのニーズに応え続けることで揺るがない。いずれのクルマも、グッドウッドTTレースなどのサーキット・イベントが行われていた時期にレースで活躍した。グッドウッドでは、サー・スターリング・モスがハンドルを握ったフェラーリ250GT SWBが(1961年と1962年の)2度優勝し、現在も、グッドウッド・リバイバルの同じレースでグリッドにつけている。また、モスは、グッドウッドでDB4GTも走らせ、1960年のイースター・ミーティングでフォードウォーター・トロフィーに輝いている。
本格的なレースからシャンパンを飲みながら楽しむ高級ツアーやコンクールの世界まで、アストンとフェラーリは、オリジナルで7桁以上の価値を見せつけるかのようにその華麗な姿を見せる。また、雑誌の「ドライバーにとっての史上最高のクルマ」、「最も美麗なクラシックカー」といった特集を見れば、そこには決まってアストンとフェラーリが顔を出す。血気盛んなエンスージアストなら、誰もが、このどちらか、できれば両方を自分のガレージに並べることを1度は夢見たことがあるに違いない。
生産台数が余りにも少なく、レーシングカーとしての性格が色濃いこの2台を、可能な限り公平に比較するためにそれぞれのロードカー仕様を探すことが最大の難問だった。
手元にある2台は、その条件を十分に満たしている。スチール・ボディの1960年式フェラーリは、わずかに改良されたV12エンジンを備えている。アストンの6気筒エンジンは4.7ℓにボア・アップされているが、その分について評価を調節する。2台とも、それ以外の点では工場出荷時の仕様であり、2台で合計440万ポンド(約7億5000万円)の価値がある。夢のような世界だ。それでは、いよいよ究極の対決に臨みたい。