まさに公道の王者、1200ps、最高速度415km/h、ヴェイロン・スーパースポーツ

公開 : 2017.04.10 00:00  更新 : 2017.05.29 19:00

スーパースポーツで1200psに

ヴェイロンが450台生産される間に、スペシャル・バージョンや、ワンオフ・モデルなどが数多く作られたものの、その決定版といえるのは16.4スーパースポーツ・ワールドレコードエディションであろう。大胆な黒とオレンジの配色は、デザイナーズ・ブランドのジョギング・シューズのような塗装を施しただけのように見えるかもしれない。しかし、そのはち切れそうな筋肉質のカーボンファイバー・モノコック・ボディのスーパースポーツは、実は全面的に設計し直されている。クランクシャフトを共有する2つの狭角4ℓV8エンジンを実質的に組み合わせたW16エンジンは、改良された4つの大きなターボチャージャーを備え、圧縮率は低めなものの、出力は6400rpmで驚異的な1200psに達する。設計の見直しにより、トルクも127.0kg-mから壮大な153.0kg-mに引き上げられた。車重を50kg落として1838kgとしたことにより、パワーウェイトレシオが1t当たり662psになった。これは、675psのラ フェラーリにより、最近になってようやく突破されたが、マクラーレンF1の559psでも及ばない。しかし、パワーだけではない。

ジャン・ブガッティなら優雅さが欠けている点について首をかしげたかも。

すべてがそのパワーに合わせられた

この驚異的な大パワーに対応するため、7段変速デュアル・クラッチ・トランスミッションを英国のレーシングカー専門会社リカルドと共同で開発した。このトランスミッションは、ハルデックスのフルタイム4輪駆動にパワーを分配する前に、フル・オートまたはセミ・オート・モードで作動する。

超高速性能に対応するため、ヴェイロンのダブル・ウィッシュボーン用に改良された制御機能を備えるオーダーメイドのダンピング・システムを開発する必要があった。巨大なカーボン・セラミック・ディスクを使ったブレーキは変更されなかったものの、ボディ・ワークを改良する際に冷却性能の向上に重点が置かれた。新しい20インチ・マグネシウム・ホイールに合わせ、ミシュランが特殊なタイヤ(フロントが265/35、リアが365/30)を設計した。ヴェイロンのあらゆる要素とまったく同様に、交換には巨額の費用を要し、新しいタイヤだけでも、フォルクスワーゲン・ゴルフの新車1台分する。ー

大胆な黒とオレンジの配色は、デザイナーズ・ブランドのジョギング・シューズのようだ。


スーパースポーツのスタイリングの変更には、ヘッドライト下部へのダクトの追加と、冷却効果を高め、2つのリアウィングへのエアフローを改善するルーフ上の大型のNACAダクトが含まれている。高速での視認性を向上させるためにAピラーも元のものより細くした。

378km/hを超えて加速する場合、リアにある幅の広い複葉ウィングが展開されるのを止めるための2つめのイグニションキーが用意されている。ウイングの動作は加速のテンポが速いため、標準モードよりも早く作動するというもの。

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