最速試乗 スバル最量販SUVを目指すXV 果たしてその実力は

公開 : 2017.04.14 11:50  更新 : 2017.05.29 18:41

カタログ燃費を捨ててドライバビリティを向上させた1.6ℓ

この改良は2ℓ車よりも1.6ℓ車のほうが効果的である。インプレッサはスロットルの大開でエンジン回転上昇を極力抑え省燃費ゾーン維持を図るが、維持しきれなくなるとダウンシフトすると跳ね上がるように回転上昇。XVは早めのダウンシフトで回転上昇を少なく、なおかつ速度上昇と一致感のある回転変化で制御される。ちょっと回し気味の心地よい加速感である。そのため、インプレッサよりも非力感が減少していた。

カタログ燃費を稼ぐには適さない制御だが、中庸域の加減速制御しやすい特性は状況や運転スタイルによる燃費の振れ幅減少に有効であり、実燃費ではカタログほどの差が出ないと思われる。要は実践的制御なのだ。

フットワークも「インプレッサ超え」

重量増に重心高アップという物理的ハンデが出やすいフットワークも「インプレッサ超え」。XVで新旧乗り比べると新型は骨格関節がっしり筋力増強という感じ。硬柔のモノサシなら旧型から硬められた印象があるが、硬いけどしなやかで走りの質感は大幅アップ。

この「しなやか」の部分はインプレッサからの進化の要点だ。リアサス・ロア・ブッシュの低フリクション化等々の改良がもたらした結果だが、大ストローク時の往なしの巧みさと車軸を揺するような振動も抑えられているのが印象的。とくに18インチ仕様で顕著であり、インプレッサではロー・ハイト大径ホイール特有の車軸周りの振動が感じられたが、XVはほとんど感じられなかった。もっとも、全モデルともタイヤの扁平率はインプレッサよりも大きく、タイヤによる振動吸収で有利さも大きく影響している。ちなみに18インチ車のタイヤ・ハイトはインプレッサの90mmに対してXVは124mmであり、最低地上高増と乗り心地改善の両面に寄与している。

ハンドリングの特性は「素直」の一言に尽きる。インプレッサも穏やかさと安心を軸に仕立てられているが、XVはさらに切れ味を抑え気味にして挙動の連続感を高めた設計。操舵に素直かつ路面のうねりや加減速による方向性の乱れが抑えられているのでワインディングのハイアベ走行も苦にならない。高性能志向のSUVにありがちなケレン味もなく、懐深さを実感させてくれる。身に馴染みやすい操縦感覚と言い換えてもいいだろう。


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