ミドル・セダン決定戦:前編 ―― BMW 5シリーズ vs メルセデス・ベンツEクラス vs ジャガーXF
公開 : 2017.04.15 10:00 更新 : 2017.05.29 18:37
光るメルセデスとジャガーの完熟っぷり
メルセデス・ベンツE350dのOM642型V6は登場から10年以上が過ぎても現役で、ジャガーのAJD-V6などいまだにかつての親会社であるフォードから供給を受ける古株だが、ベテランらしい熟練度が感じられる。
メルセデスは、800rpmの幅しかないトルクバンドを、9Gトロニックが懸命に探し当てることで、エンジンの古さをカバーしている。
一方のジャガーは、71.3kg-mもの大トルクをZF製8段ATが引き出し、4000rpmでは3台中最強の300psを発揮する。
530dは、カタログ・スペックではXFの後塵を拝し、トランスミッションの段数ではE350dにひとつ足りない。しかし、いずれもその不利を、走っていて体感することはない。
適切なギア比の設定はメルセデス並みに巧みな変速を可能にし、静かなクルージングから滑らかな唸りを上げて加速する一連の流れはジャガー以上だ。
その理由は多岐に渡る。
まず、内製8段ATは、XFのそれよりIQが高そうな変速マナーで、さらにロック・アップを早めに使う傾向がある。
また、このクルマは四輪駆動仕様だ。そして、直6エンジンは昨年導入されたばかりのB57型である。クラス・トップ・レベルの高効率を売りものにしているが、単なるエコ物件ではなく、活気と精密さも大きな魅力なのだ。
E350dには5つの走行モードが用意されているが、結局のところメルセデスは、なるべくコンフォート・モードで走ってほしいと思っているようだ。
マルチ・チャンバーのエア・サスペンションは、緩やかな波長の長い上下動で、轍などを勘案しないような軽快なレスポンスを、スタビリティ志向の電動ステアリング越しに感じることはない。