トヨタ・ヤリス(ヴィッツ)は実力派 ただ楽しいかどうかは別問題 1.5ℓを試乗
公開 : 2017.04.17 12:00 更新 : 2021.01.28 16:43
乗り心地、ハンドリングは良いとはいえない
乗り心地に関しては、オランダの舗装された道路がメイン・ルートだったため、深く探ることは困難だった。
しかし、稀に遭遇した悪路では、16インチのホイールを履いたこのヤリスは、旧モデルと似たようなキャラクターだと思った。
突き上げの吸収はしなやかで、キャビンへの大きな衝撃の進入はない。一方で、安定性は芳しくない、特に高速域では。
このクルマを山坂道で走らせること想像して、いい予感がしないのは、不自然に重く応答性の乏しいステアリングと急な進路変更をした時、ドライバーの意思とクルマの挙動が一致しない操縦性にある。
たしかにステアリングを回せば、クルマも向きを変える。グリップのレベルも悪くない。しかし、どうにも、ドライバーの意志と挙動には、いくばくかのズレがある。
よって、ヤリスは楽しむのではなく、機能することがその意義であるという結論に達した。
インテリアは「大躍進」 ただ残念な点も
一方、新しいヤリスのインテリアの質感は今までで一番よいと感じる。
やわらかい手触りのプラスティック、ピアノ・ブラックとクロームのアクセント、スイッチやエア・ベントの高質感など、現行フォード・フィエスタのそれと比べても遜色なく、一段高い質感を確保している。
しかし、たとえばフォルクスワーゲン系の確立した落ち着いた雰囲気はまた別次元ではある。ドライバーのシートの設置位置が高過ぎたり、ステアリングの調整幅が狭く、ペダル類とシフト・レバーの操作感が一貫していない等、ライバルと比べ残念な点はある。
トヨタのインフォテインメント・システムの出来具合も評価を更に下げている。古臭いグラフィックにまぎらわしいメニュー、タッチパネル上のボタンは小さすぎるし、しかも反応が遅い。
そのうえ、Apple CarPlayやAndroid Auto等のスマートフォンにも対応してない。