モータースポーツジャパン 2017 フェスティバル イン お台場
2017.04.15-16
モータースポーツ・ファンの祭典、モータースポーツジャパンが今年もお台場を舞台に2日間にわたり開催されました。ことしのテーマは「LEGEND OF TOYOTA」。歴代のトヨタのモータースポーツ史に足跡を残したマシンの展示と、往年の名レーサーのトークショーなどで盛り上がりました。
モータースポーツの一般への振興を趣旨として2006年より開催されているイベントであるモータースポーツジャパン・フェスティバル・インお台場。今年は4月15〜16の両日で開催された。
このイベントの特徴は特定のメーカー偏ることなく、国内の主要自動車メーカーやモータースポーツ色の強い海外メーカー、そしてモータースポーツ関連団体やパーツサプライヤーなど、わが国でモータースポーツを推進する勢力が一致団結して運営されているという部分だろう。それは単なるカーショー的なものに終わらず、最新のコンペティション・マシンやスポーツカーの走りを体験できたり、自らが競技に出場するための競技ライセンス講習会も開かれるなど、来場者自身がモータースポーツの空気を直に味わえるコンテンツが用意されている点でも強く表れているといえる。
昨年に筆者がお邪魔した際は、強い雨風など荒天のため、早々にイベント自体が中止となってしまったのだが、今年は好天に恵まれ早朝よりお台場は賑わっていた。高らかなエグゾースト・ノートと激しいスキール音を轟かせながら華麗なドライビングを見せる、現役のレースカーとドライバーの迫力ある走りにギャラリーは魅了されていた。また、多くの展示ブースで来場者が体感できるような参加型のコンテンツが用いられているため、大いに盛り上がっている様子だった。とりわけレーサーやモーター・ジャーナリストのドライブによる同乗走行も数多くあり、最新のコンペティション・マシンやスポーツカーのパフォーマンスを楽しんでいた。そしてもちろん未来のレーサーたるチビッ子たちが2輪・4輪の乗り物に触れ合えるキッズカートやバイクの体験コーナーも実に楽しそうであった。
そしてダイバーシティ前の広場では毎年恒例のレプリカ&ヒストリックカー展示も開催されており、今年もレースカーやラリーカーを忠実に再現したレプリカカーから、珍しくも懐かしいヒストリックカーまでがぐるりと広場外周に並べられていた。今年はメインフィーチャーとして「LEGEND OF TOYOTA」が掲げられ、歴代のセリカやカローラレビン、カリーナといったトヨタ車は広場の中心に陣取っていた。また、トヨタのモータースポーツ史を飾ったコンペティションカーも特別に展示されてファンの目を集めていた。
そしてこの「LEGEND OF TOYOTA」の目玉コンテンツとしてトヨタ車に乗って活躍したレジェンド・ドライバーたちによるトークショーも両日にわたって開催された。筆者が訪れた16日の午前は第1回日本グランプリにクラウンで参戦、クラス優勝を果たした多賀弘明選手、トヨタ初の日本人WRCワークスドライバーとして1995年にサファリ・ラリーで総合優勝を果たした藤本吉郎選手、そして’80年代から実に13回ものサファリ参戦経験を持ち、ワークス・グループAセリカで挑んだ1993年には日本人歴代最高位の4位でフィニッシュした岩瀬晏弘選手という豪華な顔ぶれだった。こういったトークショーの醍醐味はやはり、フランクな空気の中で飛び出る当時のウラ話。モータースポーツ黎明期だった当時はメーカーから借りてきた広報車でそのままレースに出場したという話だったり、ギリシャの細かな玉砂利の浮く“ボールベアリング・ロード”と称される悪路の走り方だったりと、現場のリアルな話が聴けたのは収穫であった。
さらにはトークショーの後には会場限定のポストカードが配布され、レジェンド自らのサインをいただけるという時間も用意された。お三方とも既にレーシング・ドライバーとしての現役は退かれているが、久しぶりのファンサービスに顔を綻ばせて応じておられた。
昨今のクルマ離れやエコカーの台頭という風潮もあり、一般の人々とモータースポーツとの間にスキマというか距離感を感じてしまいがちではあるが、こういったイベントが長く続いてくれることにより歯止めとなり、ひいてはよりいっそうの振興が図られるようになることを願いたいものである。