またも★★★★★ 待望のマニュアル! ポルシェ911 GT3を初テスト
公開 : 2017.05.05 11:45 更新 : 2017.05.29 19:03
■どんな感じ?
いよいよ試乗!
水平対向6気筒は4.0ℓ自然吸気で、社内コードでは9R1.5と呼ばれる。
911Rに搭載されたユニットとの関連性が強いが、各部を新設計し、フリクションを軽減するプラズマ加工シリンダーライナーや、高剛性クランク・ケース、設定変更されたカム周りなどを採用。掃気システムもドライサンプ用に改修され、オイルの再循環を40%以上削減した。
鍛造ピストンとチタン・コンロッド、「ヴァリオカム」可変バルブ制御機構や200barの直噴燃料供給装置などは、デイトナ24時間を制した911RSRの技術を応用。
旧GT3の3.8ℓユニットに対し24ps/2.1kg-mアップの、500ps/8250rpmと46.9kg-m/6000pmを発生する。911Rではシングルマスだったフライホイールは、デュアルマスに変更された。
ダイナミック・エンジンマウントは、回転向上に伴って硬度を増し荷重変化を吸収する。それに載る新型エンジンは、9000rpmでイグニッション・カットが作動する。MT仕様の0-100km/h加速は3.9秒で、これはPDK仕様の0.5秒落ち。0-200km/hは11.4秒だ。
エンジンをかけると、エグゾーストからはハードな破裂音が、エンジンからはおなじみの打ち付けるような金属音が聞こえ始める。
アイドリングから、エンジンの脈動がドライバーの身体を震わせる。サーキット向けのロードカーというより、公道を走れるレースカーといった趣だ。
コンフォート・モードでは、旧モデルより落ち着いた乗り心地を示す。特に小さいバンプは、しなやかに乗り越える。公道での長距離移動に堪えるために、コンフォートとスポーツの2段階切替式ダンパーを、より広い範囲をカバーできるよう改修したとプレウニンガーは語る。
しかし、タイヤ・ノイズは出がちだ。旧モデルと同程度に重量を抑えるべく、リアのバルクヘッド周りの遮音材を削減したこともあり、タイヤの発する唸りがキャビンに侵入してくるのだ。同時に、低音の効いたエグゾーストノートもよく聞こえるようになったのは、歓迎すべきポイントだ。
新型の4.0ℓユニットは、3.8ℓユニットとやや違った性格の持ち主だ。最大トルクは絶対値が上がるとともに発生回転数が250rpm下がり、2〜4速でスロットルペダルを踏み込めば、中回転域でより強力に加速する。
また、トップ・エンドまでの2000rpmが旧型より激しく回るが、プレウニンガーによれば、その領域でクランクケースやブロックの剛性アップが効いてくるのだという。
それらはわずかな差ではあるが、確かな進歩が感じられ、新型GT3を過去のモデル以上に実戦的なマシンに仕立てているのだ。