新旧バトル:後編 ―― アウディRS2アバント vs VWゴルフRヴァリアント
公開 : 2017.05.07 18:00 更新 : 2017.05.29 18:56
【後編】ハイパフォーマンスなワゴンという新境地を開拓したアウディを、同じ手法を現代の技術でなぞったフォルクスワーゲンは超えられるのでしょうか? アウディRS2/VWゴルフRの対決、後編です。
「原始的」という美学
アウディRS2アバントの操縦系からは、クルマとの一体感が感じられる。特にスロットル・ペダルは、最新のバイワイヤのそれがいかに不確実なものであるかを教えてくれる。
ストロークは適度に長く、しっとりと滑らかで、スムースに動くアウディのペダルは、ダイレクトで、スロットルボディの感触まで感じられるようだ。
踏み始めにも、不釣り合いなレスポンスを演出するようなことはない。全体的に運転のしやすさを念頭に置き、ターボサージを緩和して扱いやすくするようチューニングされている。
フルスロットルを望むなら、思い切り踏み込む必要がある。カーペットに触れる手前の1cmほどで、劇的な変化が体感できるだろう。
対照的にゴルフRは、比較的スローに運転できる一般的な仕立て。ステアリングはアウディのそれより重くダイレクトだが、フィードバックには欠ける。
DSGはドライバーの負担を減らし、エンジンはモダンな4気筒にしてはエモーショナルだが、疑似的なエンジン音だとも言える。
音はともかく、ゴルフRの動きはクイックで、現実的な状況下で走る限りはアウディより速い。しかしそれは、絶対的な速さではなく、レスポンスの差によるものだ。
いっぽう、RS2でペースを上げれば、それが非常に速いクルマであることが感じられる。